「ゼルビアTimes」郡司聡

計7年の長期政権に幕。相馬体制の終焉④/シーズン目標は夢散。根底を見失ったチームが示した“限界値”【短期集中連載/シーズンレビュー2019】

昨季の4位からJ1昇格を目指した2019シーズン。通算7年目を迎えた相馬直樹監督は、これまでとは一線を画すチーム作りで目標達成を目指した。しかし、結果は最終節での自力残留で18位フィニッシュ。「望んでいた結果」(増田卓也)には到達できなかった。そして、シーズン終了直後、相馬監督が退任し、来季はランコ・ポポヴィッチ監督の下、「3年以内でのJ1を目指せるチーム作り」(唐井直GM)を目指すことになった。第二次政権6年目で幕を閉じた相馬体制にピリオドが打たれるまでの過程とは。複数回に分けて掲載する。

第39節の愛媛戦前、相馬監督による“SB講座”も開かれた。主に攻撃面の指導だった

▼“波”を抱えたままのオフェンス

敵地に乗り込んだ第35節のV・ファーレン長崎戦は、先手を奪われて追いかける展開の中、“スクランブル態勢”で発動したワンサイドアタックが機能し、二度追いつく粘りを披露した。しかし、最終的に大竹洋平の2得点に屈し、2-3で競り負け、長崎戦の敗戦により、2019シーズン中のJ1昇格という夢は、完全に潰えた。「もうわれわれの目標は、J1昇格ではないという話はすでにしてきたし、早くこの状況から抜け出さなければならない」(相馬直樹監督)。こうして危機的状況とは言い難いものの、残りのシーズン目標は、J2残留死守となった。

長崎戦を終えた後の10月の試合スケジュールは、下位に苦しむ鹿児島ユナイテッドFCと最下位であるFC岐阜とのホームゲームが組まれていた。間に挟まれた水戸ホーリーホックとのアウェイゲームは、多くを望めないにしても、鹿児島と岐阜とのゲームは、残留争いから抜け出すために、確実に勝ち点3奪取が必要な情勢だった。そのためにも得点力アップは必須事項。指揮官はより多く点を取るために、それまで継続してきた新たなトライをブラッシュアップしていくことに加えて、9月の時期からボールの動かし方にマイナーチェンジを施してきた。

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