「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開】Jリーグクラブライセンスの判定結果はJ2ライセンスに。“三位一体”の努力が、未来への道を切り拓く【コラム】

▼J2トップ射程内も……

9月27日、日本サッカー協会の拠点であるJFAハウスにて、2019シーズンに関するJリーグクラブライセンス判定の記者ブリーフィングが実施された。現在J2・2位で自動昇格圏に位置する町田は、例年どおり、J2クラブライセンスが付与されている。この決定により、仮に今季、2位以内のJ1自動昇格圏および6位以内に入っても、J1自動昇格やJ1参入プレーオフ出場の可能性がなくなった。

町田がJ1ライセンスを取得するためには、1万5,000人以上入場可能なホームスタジアムと天然芝またはハイブリッド芝のピッチを有したトレーニング施設などを整えることが条件。1万人弱のキャパシティである町田市立陸上競技場は、将来的な改修が見込まれているが、むしろ現状はトレーニング環境を整えるほうがハードルが高くなっている。

とはいえ、クラブはこの現状にただ手をこまねいているわけではなく、J1ライセンス交付のために、関係各所との連携を深めている。その一方でピッチ上の選手たちは、J2トップも射程内の2位に位置するなど、今季のJ2優勝戦線を盛り上げてきた。現在9得点でチーム得点王である中島裕希はこう語っている。

「とにかく自分たちは試合に勝って、結果で変えていくことしかできません。そんな僕たちが戦っている姿勢を見せて、スタジアムに来る人たちを増やしていきたいです」

昨季、J3優勝を果たしながらも、J2クラブライセンスが交付されなかったブラウブリッツ秋田は、J2昇格が叶わなかった。しかし、ピッチ上の成績面による影響力が、行政各所の動きのスピード感を速めることにつながり、2019シーズンの秋田はJ2ライセンスが交付されている。

J2優勝を成し遂げたチームが、翌シーズンからトップリーグで戦えないとなれば、一つの“事件”。その結果が周囲に与える影響力は計り知れないだろう。現場は内外にインパクトを与える結果をつかみ取ろうと奮闘する中、クラブは経営的な体力を含めたトップリーグに所属するにふさわしいクラブになるために、不断の努力を続けている。そしてファン・サポーターも野津田に集う人たちを一人でも増やそうと、さまざまな工夫やアプローチを実践してきた。

ゼルビアに携わる人たちが、できる限りの力を尽くす。“三位一体”の努力が実を結ぶ日は、きっとやってくるし、名実ともにJ1にふさわしいクラブになってから、トップリーグに昇格しても決して遅くはないだろう。ゼルビアは、1977年のFC町田トレーニングセンター発足に端を発し、よちよち歩きながらも着実に進歩してきた市民クラブなのだから。

Photo&Text by 郡司 聡(Satoshi GUNJI)

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