「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開】相馬直樹監督「できたことを評価しつつ、もう一つ上のレベルに行くためにトレーニングをしていきたい」+水戸・長谷部茂利監督、伊藤涼太郎【水戸ホーリーホック戦/監督・選手コメント】

■明治安田生命J2リーグ第32節・9月9日(日)18:00キックオフ
町田市立陸上競技場/3,737人
FC町田ゼルビア 0-0 水戸ホーリーホック

■相馬直樹監督(町田)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「9月に入ってのナイトゲームとなりましたが、われわれを応援するために多くの方々に集まっていただきありがとうございました。今日は本当にタイトな、ちょっとしたミスも許されないような試合でしたが、最後まで選手たちが集中力を高く保って戦うことができました。選手たちに声援を送ってくださり、雰囲気を作ってくださった方々にお礼を申し上げたいと思います。

ゲームのほうですが、水戸さんとはシステム的にも噛み合いますし、水戸さんが2トップを縦関係にしてきた中、基本的には球際の攻防の多い、バチバチしたような展開でした。そして水戸さんもいろいろなことを徹底して戦っていて、われわれも徹底して自分たちの戦い方をやっていこうとしている中で、球際や競り合いの中でちょっとした入れ替わりからチャンスが生まれるようなゲーム展開でした。

ただ多少のミスがあってもカバーをすることもできていましたし、少し良い形でボールを奪った中でもう少し攻め切りたかったですが、出るところ、戻るところをお互いに徹底した中でのゲームでしたので、なかなかオープンな展開にはなりませんでした。

そういう試合展開の中、危ないボールの失い方をしても、一番最後で相手に足を振らせない守り方ができていましたし、攻撃ではボックス近くまで入り込めていましたが、そこから先でゴールを奪うためには、相手が驚くようなタイミングでの仕掛けやアイディアなどが必要になってくるんだなと感じました。もちろん今できることの中で、選手たちは前へ前へ出ることをやりながら、前向きなトライをしてくれました。試合後にあらためてスタッツを見たのですが、相手のシュートは2本でした。もう少し五分のゲームだったのかなと思ったのですが、CKも含めて主導権を握れた試合でしたから、われわれが勝たなければいけない、勝ちたかった試合でした。

ただ選手たちは前へ出ることを90分間、出し続けてくれました。後半の頭は相手に勢いがあったのですが、後半の15分過ぎからはわれわれが前へ出て行く姿勢が続いたのかなと感じています。最後まで戦い切る、走り切る、足を伸ばすということをやり切ってくれた選手たちに感謝しています。僕のほうで選手たちの奮闘を勝ち点3に変えられれば良かったと思いますが、今日できたことを評価しつつ、次のゲームに向けて、もう一つ上のレベルに行くためにトレーニングをしていきたいと思っています」

ーー1枚目の交代カードは後半の34分でしたが、そこまで我慢したというか、交代カードを切らなかった理由と交代カードを切るまでの時間帯のピッチ上で起こっている現象に関してはどう見ていましたか?
「後半の最初の15分ぐらいまでは、相手のほうがリズムに乗る展開でしたし、セカンドボールを相手に拾われるケースも多かったです。また自分たちのボールの収まりどころがなかなかなかったので、何か手を打たないといけないと思ってはいました。

ただ、その中でどう交代カードを切ったら良いのかと考えていたところ、後半の15分から20分ぐらいの間にわれわれのほうに試合の潮目がやってきました。そのあとはセカンドボールを拾えることもそうですし、シンプルに前に起点を作ることができて、サイドの選手が攻め上がる形も出来始め、セットプレーの本数も増えたと思います。そのため、この流れを継続したいと思いました。その一方で相手は二枚代えをしてきたので、その後の様子を見ようとその時間までは交代カードを切るようなことはしませんでした」

 

■長谷部茂利監督(水戸)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「お互いに得点を取れなかった面白みに欠ける試合でした。ただ、ファイトする部分が試合開始から終了までたくさんあって、そういう部分では楽しかったんじゃないかなと思っています。選手たちは気温もある中での試合となりましたが、(体力を)酷使して、バトルを繰り返していたという印象です」

ーー町田のコンパクトな陣形でのプレスに対して狙いとしていた攻撃で予定どおりにいった部分と、足りなかった部分は?
「何回かボールと逆サイドのスペースや選手に運んで、そこから縦に行くという形を何回かできかけましたが、その回数は少なかったですし、あまりうまくいきませんでした。ただ、選手はトライをしてくれて、真ん中を使いながら攻める場面が何回かありました。前回対戦の前半よりは良かったと思います」

ーーバティスタ選手ではなく、伊藤涼太郎選手を先発させた理由は?
「かねがね伝えていますが、選手の長所を生かしたいという意図がありました。バティスタもそうですし、試合に出られなかったメンバーもいますが、選手たちの長所を使いたかった。今日は涼太郎のボールを受けてターンして仕掛けるプレーに期待しました。何回かもしかしたらそこから(チャンスを作れる)糸口を作りかけたのですが、実際はチームで無得点だったので、うまくいきませんでした。ただ、トライはしてくれたので、引き続き精度が上がるように、一人のプレーではなく、グループで崩せるようなプレーに発展させていきたいと思います」

ーー中央のプレッシャーが厳しかったと思います。それでも中央で伊藤涼太郎選手を起点に攻めようということだったのですね。相手の強みを崩そうという考えだったのでしょうか?
「中央と外との関係を選手たちに説いていますが、外ばかりボールを運ぶようなサッカーをわれわれは目指していません。外と中の両方をうまく突いていく。選手が判断して突いていくことを要求しています。選手たちにはトライしてもらっています」

ーー今回の勝ち点1についてどう受け止めていますか?
「順位からすると、世間的には良かったと思われるかもしれませんが、私としては非常に悔しいです。もっとチャンスをたくさん作って、複数得点で勝ちたかったですね。もっと内容を良くして、もっとボールを動かして、フットボールを見せたかったです。戦っている部分が多過ぎて、ボールを足で、時々頭で、体で運んだり、蹴ったりする回数が少なく、質を見せることができなかったことに対して、残念な気持ちでいっぱいです」

ーー無失点に抑えた守備については?
「GKを中心に前線から連動して守備をする場面があったと思います。すべての場面ではありませんが、そういう意識でプレーしてくれて、無失点で抑えることができました。もちろん、大変危ない場面もありましたが、相手のミスに救われたところもありましたし、マークをしっかりしよう、良いボールを簡単に入れさせないようにしようという部分に関しては、今まで以上のプレーができたと思っています」

ーー船谷選手とバティスタ選手投入の狙いは?
「キックの精度の高い船谷とヘディングの強いバティスタの長所を生かそうという狙いを持っての投入です」

ーー同じシステム同士で試合が難しかった?
「もしかしたら、あったとかもしれません。ミスマッチがほとんどなかったので、そういうところはやりやすさとやりにくさの両方がありました。町田さんがどう思ったかは分かりませんが、われわれとしてやりづらさはありませんでした」

ーー伊藤涼太郎はやや下がり気味に起用したのでしょうか?
「相手のディフェンスラインと駆け引きをして背後に出ていく回数よりもボールをDFとMFのライン間でボールを受けて、ボールを散らしたり、自分で運んでいくプレーが得意なので、そういうプレーの回数が多くなったと思います」

ーー前回対戦よりレベルアップを感じました。勝てる要素も負ける要素もない試合だったと思います。相手のゴチャゴチャしたサッカーに対して、サイドにもっと展開して攻めたかったのでは?
「一言で言うと、面白みのないゲームでした。私はそう感じています」

 

■伊藤涼太郎(水戸)
セカンドボールの拾い合いが勝負になると思っていた
「(どういうイメージを持って試合に入りましたか?)試合に入る前から今日は難しい展開になると分かっていましたし、セカンドボールの拾い合いが勝負になると思っていました。空中にボールがあるほうが長いような展開になることを予想していました。ただ、チームとしてちょっと相手に合わせてしまったかなと。相手に合わせたことで自分たちがボールを蹴る回数が多くなってしまったかなと。そこはチームとしての課題です。個人的には後半最初のシュートを決められなかったことが課題だと思っています。

(町田はコンパクトにプレスをかけてきて、中央にあまりスペースはありませんでした。でも、そこをはがすと、チャンスを作れます。相手の強みを崩す役割を担っていたのでしょうか?)町田は非常にコンパクトにプレスをかけてくるのですが、僕と小島選手でワンツーで崩す場面からバイアーノ選手にパスを出した場面がありました。あの場面のように一つ打開するとああやって道が切り開けました。一人かわすまでは大変なのですが、一人をかわしてしまえば、自分たちにとっておいしい展開になると思っていました。ただ、その回数が少なかったですし、それがチームの課題ですね。

(監督が話していましたが、サイドから攻めるだけでなく、中からも攻めて崩したかったのでしょうか?)町田は非常にコンパクトなので、例えば僕たちがバックパスをしたらラインを上げてくる。そこで2列目から飛び出していったり、真ん中にギュっと人が集まるので、サイドにワンタッチで展開して攻めていこうという狙いがありました。何回かありましたが、あとはそこの精度が高ければ、ゴールに直結したと思います。そういう意味で今日はチームとしての課題が出てしまいました。無失点だったので守備陣に助けられた試合になりましたが、攻撃陣が奮起すべき試合でした。

(上位陣との連戦で2引き分けという結果です)チームとして目指している6位以上に行くためには上位を叩かないといけないですし、勢いがあって上位にいる町田のようなチームを倒さないと上には行けません。下位のチームに勝つより、上位のチームに勝つほうが上位に行くチャンスが大きいと思うので、今日は本当に悔しいです。

(町田がコンパクトに密集地帯を作ってくる中でもワンタッチのパスをつないで剥がしていこうとトライする場面がありました。そうすることに自信があったのか、それとも町田を崩すにはそのほうが効果的だと思っていたのか。どちらでしょうか?)やれる自信もありましたし、個人的に上のレベルに行くには、町田相手に自分で崩していく、切り開いていく形を作りたかったです。僕が上を目指す上では勝ちたかったです。個人としてはまだまだダメだなと痛感した試合になりました。

(後半のフィニッシュの場面は力んでしまったのでしょうか?)自分にとっての初めてのシュートチャンスでしたし、チームとしても絶好のチャンスだったので、シュートで終わろうと意識がありました。そのために焦りが出てしまいました。振り返ればトラップしてからシュートを打てば良かったかもしれません」

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