【★無料公開】J2第32節・金沢vs町田/金沢・森下仁之監督、作田裕次選手、山崎雅人選手、太田康介選手、町田・相馬直樹監督(4,959文字)
■明治安田生命J2リーグ第32節・9月18日(日)18:00キックオフ
石川県西部緑地公園陸上競技場/2,076人
ツエーゲン金沢 1-2 FC町田ゼルビア
【得点者】金沢/66分 山崎雅人(PK) 町田/17分 仲川輝人、69分 中村祐也
■森下 仁之監督(金沢)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「非常に残念な結果になりました。町田さんは非常にコンパクトな守備をするチームで、自分たちは幅を広く使った攻撃を狙っていました。町田さんの前線の選手たちによるプレッシャーが厳しく、一度内側でタメを作った中で、外に振ることがなかなかできませんでした。いくつか外から入れていくボールはあったのですが、中央での人数が足りなかったり、サイドからのボールの精度が足りずに、なかなか決定機や多くのシュートチャンスを作れませんでした。
後半は金子が入ったところで攻勢に出た時間帯に1点を奪えたのですが、自分たちの良い時間帯に簡単に失点をしてしまったことがもったいなかったです。その失点が自分たちのリズムを失う結果につながり、チャンスを作れませんでした。町田さんは背後に出たボールに対する頑張りや、自分たちが後ろ向きでプレーしている中でもプレッシャーがキツくて、サイドでプレッシャーを受けて、CKも多かったですし、町田さんの強いプレッシャーを受けた中で残念な結果となりました。ただ選手たちはビハインドがある中で最後まで戦ってくれました。勝ち点がなくなるわけではないですし、今後も勝ち点を積み重ねていく作業をしていくしかありません」
ーーハーフタイムでの作田選手から金子(昌広)選手への交代は戦術的な理由でしょうか?
「ボールをサイドに散らしていこうと考えている中、相手のプレッシャーもキツかったので、ビルドアップを改善したかったことが交代の理由です。ミスは交代の理由ではないですが、ボールを持つことの積極性や自信をなくしているように見えたので代えました。また(熊谷)アンドリューを中盤に戻して、前半は中盤であまりタメも作れていないかったので、アンドリューを中盤に入れてタメを作りたかったです。また町田のラインが高かったため、金子と山崎二人でスペースに出ていけるという狙いが交代の意図です」
ーーお互いに7試合勝利なしと同じような状況で対戦を迎えましたが、勝敗を分けた要因は何でしょうか?
「同じ7試合勝ちなしとはいえ、順位を見ると自分たちは余裕がありません。勝ち点3を目指して戦わないといけないゲームで多少町田さんとは置かれた状況は違います。町田さんはやることはハッキリしていますし、前線からのプレッシャーもハードワークも途切れることがありません。球際の部分でも自分たちに弱さがありました。背後を突かれたり、前向きにしかけられたときに、CKの数にも表れているように、前がかりにやられました。細かな部分で基本的なことかもしれませんが、そういった部分の差があったのかもしれません」
■DF 3 作田 裕次(金沢)
まだまだあきらめてはいけない
「(J2残留争いの中で)厳しい状況に変わりはない。今日北九州が負けて、こちらが差を縮めることはできなかった。それでも、まだ手の届くところにいる。まだまだあきらめてはいけない。一つ勝てば流れが変わるのでやり続けていくしかない。(勝負を分けたポイントは?)コレと一つに絞ることは難しいけど、やっぱり最初の(先制された)点もそうだし、追い付いてからすぐのセットプレーからの失点ももったいなかった。一つひとつ消化して、改善していかないといけない部分は多いと思うので、次の試合に向けて(問題点の改善を)やり続けていくしかない。内容が悪くない試合が続いている。1勝すれば自信も付いてくる。それがチームの上昇につながるので、なんとか1勝をつかみ取りたい。課題は多く、点を取る。守り切る。勝ち切ることなど、一つひとつ消化していくしかない」
■FW 30 山崎 雅人(金沢)
耐えるべきところを耐えられなかった
「勝たないといけない試合だったので結果は残念。(PKのシーンについて)フジ(山藤健太)がもらったPKだった。トレーニングからフジが蹴っても良いということだったので、自分が蹴らせてもらった。コースは決めていなかったが、『絶対決めてやろう』という気持ちで蹴った。(同点弾の後の反撃について)球際などの戦う部分は相手も激しく来ていたし、(金沢も)負けていなかったが、耐えるべきところを耐えられなかった。チャンスを決め切れず、いつもの流れというか、パターンだった。僕は前の選手なので、チャンスもあったし、そのチャンスを決め切る力が必要」
■DF 5 太田 康介(金沢)
ピッチで勝つことがサポーターの心に最も響くと思う
「(先制点の場面について)自分たちで町田のストロングポイントを出させるようなことをしてしまった。アシストのパスも良かったし、パススピードもあったので、後ろに残っているほうとしては、その前のシーンでなんとかしたかったし、なんとかできたのでもったいなかった。サポーターに対しては勝てずに申し訳ないという気持ちが口だけにならないように、ピッチで勝つことがサポーターの心に最も響くと思う。
チャンスがないわけではないし、後ろがもう少し踏ん張らないと良い流れにならないと思う。(後半の序盤は特に)両サイドがワイドのスペースを取れていたので、その中で1点を取れれば流れが変わったはず。ストロングポイントを出させないプランであの失点だったので、もう少しやりようはあった。2トップがガンガン裏を突いてきたので、すごくイヤな攻めをしてきたことは確か。セカンドボールを拾われたあとに裏を突いてきたので、はね返すだけではなく、マイボールにする時間も長くできれば、もっと展開は変わったと思う。ボールを持ったほうが生きる選手はいるし、後ろはつながずに戦えるように意識はしているけど、そのさじ加減が難しい。
(2012年の残留争いの経験から生かそうとしていることについて)暗くしていても仕方がなし、良い声がけはできればと練習から意識はしている。危機感を持ちつつも、ポジティブなプレーを選択できるようにどんどんチャレンジしていきたいと思う」
■相馬 直樹監督(町田)
——まずは試合の総括をお願いいたします。
「まずは、9月の3連休の最中の雨がパラつくような天候の中、遠く東京からわれわれをサポートしに来ていただきました。いつも応援していただいているのですが、なかなか勝利がなく、これまではなかなか一緒に喜べなかった状況の中で、アウェイの地で一緒に喜べたことは本当にうれしいですし、本当にいつも変わらないサポートをしていただいて感謝しております。
ゲームのほうは、雨の影響もあり、ピッチに少し水の残っている重馬場の状態で、ボールもファーストタッチをした際に体から離れてしまうようなピッチ状態でした。そういうピッチ状態でもあったため、お互いに長いボールが多く、球際の攻防の多いゲームになったと思います。
前半はそういった展開の中、セカンドボールを拾った後に相手の背後を突く形や、金沢さんがワイドにボールを動かす中で奪ったボールをワイドに展開して、薄くなったサイドの背後をテクニックもあってスピードのある仲川が突く形を狙っていましたが、うまく彼が相手の背後を突く形から得点を奪うことができました。
前半のうちに、もう少しそういう形を作れれば良かったのですが、なかなか勝てていない時期は、選手たちの精神状態が悪いほうに行きがちで、リードしてからもうまく試合を運ぶことができませんでした。
例えば、どうしてもボールを持つことを怖がってしまうことや、相手が近付いてきたときに、すぐに人任せになってしまうなど、自分たちでサッカーをプレーすることができずに、勝利がないことでの自信のなさが影響することで怖さが先行してしまっていました。前半をリードして迎えたハーフタイムには、それを乗り越えないと勝利はやって来ないという話をして選手たちを送り出しましたが、金沢さんが後半のスタートからさらにパワーを上げて出てきたところで、失点をしてしまいました。ただ、金沢さんも追い付いたことで、少しホッとしたのか、そのあと足が止まり、そういう中でセットプレーから勝ち越し点を挙げることができました。
追い付かれたあとのすぐの時間帯に点を取れたことは非常に大きかったと思いますし、2-1になったあと、リードしている試合展開の中で、選手たちがもう二度と引いて守ることはしないということを示す戦いをしてくれたと思っています。
これまではリードした中でも追い付かれてしまうことが多かったのですが、自分たちがこれまで引いて守ることでその代償を支払ってきました。しかし今日は自分たちでその代償を取り戻してくれたと思っています。
この勝利により、また選手たちが一段階大きく成長できたゲームになると思います。シーズンは残り10試合となりましたが、今後も勝利をつかみ取る可能性が高める試合をできるように、選手たちとまたトレーニングに取り組んでいきたいと思います」
——町田さんも少し勝ち星に恵まれていなかったと思います。ご存知のとおり、金沢も現在、最下位と勝利に恵まれていないのですが、両チームともに勢いに乗れていない中で、結果として町田さんが勝利を収めることができたのですが、その勝負を分けた要因は何でしょうか?
「もちろんゲームの流れという意味では前半の比較的早い時間帯での得点や失点した直後に勝ち越し点を取れたことは、非常に大きかったと思っています。われわれとしては、多少勝利をしていた時期もあったのですが、ここ最近は勝ち星から遠ざかったいる中で、ゲームは水物と言いますが、勝利の確率を上げるために、そのころから自分たちの原点と言うか、ベースの部分を積み上げることに注力してきました。たとえそれがいますぐに勝利につながらなくても、それをもう一度積み上げていくことを大事にしようと、選手たちとトレーニングに取り組んできました。
選手たちからすれば、もしかしたら原点を見つめ直すトレーニングが続くと、面白くないことがあるかもしれないですし、実際に勝利がない中で、それを信じてやっていこうということも難しかったと思います。それを選手たちは信じてやってきて、それらを積み重ねてきたことがわれわれとしては今回、一つの結果になったと思います。もちろん金沢さんも積み上げているものもあるでしょうから、今回は勝利につながらなかったですが、また勝ちが来ると思います」
——2-1と勝ち越してから、後半の39分に1枚目の交代のカードを切るまで、かなり時間が空きました。その間、どのようなことを考えていたのでしょうか?
「まずわれわれとしてはリードしているだけに、当然ボールへ圧力をかけることが必要だと考えていました。実際にリードした中で、特に前の4人がボールに圧力をかけることを続けてくれていたので、そこの流れを切ってはいけないと思っていました。
ただし、運動量の部分や攻守の切り替え、ハードワークをすることを含めて、前の4人がそれをできなくなれば、交代させることを常に考えていました。そういった中で、最初に(重松)健太郎を入れることになりました」
——試合の終盤、左SBに有薗選手を投入しましたが、その意図を聞かせてください。
「有薗の交代出場に関しては、ギリギリのゲームになると思っていましたので、(松本)怜大が足をつっていたため、そこの手当てを早くするということで、早めに手を打ちました」
——交代出場のダビ選手に左サイドを突破される場面がありましたが、有薗選手の投入は、ダビ選手に対してのケアという側面はありましたか?
「自分たちが前に押し込んでいる中で、有薗にSBをやってもらいましたが、有薗はもともとCBの選手ですから、実際にピッチに入れるときには、そんなに無理に前へ行かなくていいと言って彼を送り出しました。そのあたりの意図が場合によっては、選手たちが守りに入ったと強く感じてしまう可能性もあるので、そうならないように、前へ行けるときは行けと伝えました」