「ゼルビアTimes」郡司聡

【マッチプレビュー】J2第22節・モンテディオ山形戦/復調の山形との激突。90分の“神経戦”

■明治安田生命J2リーグ第22節・7月10日(日)18:00キックオフ
町田市立陸上競技場
FC町田ゼルビア vs モンテディオ山形

▼「勝ち点33は後半戦に自信を与える」(相馬監督)

前節、敵地でのザスパクサツ群馬戦を2-2で引き分けたFC町田ゼルビアは、第1巡目の対戦をすべて終えた。前半戦が終了し、9勝6分6敗勝ち点33のリーグ順位は7位。J1昇格プレーオフ圏に肉薄する勝ち点を稼ぎ出し、後半戦へ折り返すこととなった。そんな前半戦を指揮官・相馬直樹監督は次のような言葉で総括している。

「良い時期も悪い時期もあったが、第1クールの中で最初の勢いをずっと持続することはなかなか難しかったという事実はある。勝ち点33が減ることはないので、自信を持って良いし、後半戦の戦いに自信を与えてくれるとも思っている」

セレッソ大阪とのオープニングマッチに敗れたあと、第2節・京都サンガF.C.戦で今季初の勝ち点を獲得。その後は11戦無敗など、序盤戦のリーグを席巻し、前半戦の終盤5試合は2分3敗とやや苦しんでいる。しかし、「22番目のチーム」(相馬監督)が二ケタ勝利まであと一歩の成績を残すなど、勝ち点を取れるべきときに取っているという事実は揺るがない。

とはいえ、まだJ2残留が確定したわけではなく、酷暑下の夏場でハードワークも発揮しにくい事情もあるため、“運動量”を生命線とするチームにとって、この時期は一つの“正念場”。相手の対策・研究も進む中でいかに勝ち点を積み重ねていくか。「チームも個人もレベルアップが必要」と森村昂太が話すように、個々の力量とチーム力のさらなる向上という両輪のテーマに向き合いながら、後半戦を戦っていくことになるだろう。

「自分たちから崩れる必要はないし、こちらができていることを継続すること。でも勝ちにはまだ足りないということは(5戦未勝利という)結果が物語っている。自分たちを取り戻すか、また(自分たちの姿を)新しく見付けるのか。いずれにしても、そういうことができる試合にしたい」(相馬監督)。今節、ホームでのモンテディオ山形戦は、J2定着への足がかりを作るための、後半戦の始まりとなる。

▼単純な日程面では優位も……

前回、第7節で対戦したときの山形は、当時今季未勝利とチーム状況はドン底にあった。「僕たちが対戦したタイミングが一番苦しい時期だったと思う」と土岐田洸平。2014年にJ1昇格を勝ち取った“ディエゴ・システム”[3-4-2-1]の機能性も乏しい相手に、町田としてはPKによる1点のみだったものの、連勝中のチームらしく、山形を寄せ付けなかった。

しかし、現在の山形は復調傾向にある。基本布陣は、ディエゴを1.5列目に配置する[4-4-1-1]か、横並びの2トップである[4-4-2]。結局、前半戦の戦績も7勝7分7敗と星もまったくの五分に戻している。直近の試合はミッドウィークにロアッソ熊本戦を戦い、大雨の中、4-1の大勝を飾っている。

ただし、「メンバーを入れ替えながら戦っていた」と相馬監督が話したように、元日本代表FW大黒将志や佐藤優平を温存しながら、結果を残したため、1週間の準備期間の末に臨める町田のほうがコンディション面で優位に立っているとは言い切れない。ディエゴ・ローサの出場停止は一つの朗報だが、1.5列目の位置でより持ち味を発揮しているディエゴに加えて、最前線に大黒が配置されれば、町田の最終ラインにかかる圧力は決して小さくない。特に最終ラインの背後と相手のスキを突くことに長けた大黒には「細心の注意が必要」(土岐田)だろう。

気候次第では止むを得ないとは、最終ラインの重心を下げ過ぎることは、コンパクトなハイラインを生命線とする町田としては、決して本望ではない。繊細なラインコントロールを強いられる最終ラインの負担は大きいが、最終ラインの背後をケアする守護神・高原寿康やボランチのいずれかが最終ラインを適宜サポートしながら、相手のオフェンスをはね返さなければならない。よりグループでの対応が肝要となるだろう。

ある種の“神経戦”を戦う中で、勝ち星につなげるためには、少ないチャンスを確実に仕留める決定力も必要不可欠。10試合ゴールから遠ざかっている中島裕希は、二度目の古巣戦を戦うことになるが、「山形のサポーターは、僕が活躍するのはイヤだと思う。町田のためにも活躍したい」と話している。昨季まで在籍したチームを相手に、長き沈黙を破れるか。彼の双肩に懸かる期待は大きい。

Text by 郡司 聡(Satoshi GUNJI)
Photo by ©FC町田ゼルビア/春木 睦子

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