「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開】J2第10節・岡山×町田/岡山・長澤徹監督、押谷祐樹選手、矢島慎也選手、町田・相馬直樹監督コメント(4,669文字)

■明治安田生命J2リーグ第10節・4月29日(祝・金)14:00キックオフ
シティライトスタジアム/9,170人
ファジアーノ岡山 2-2 FC町田ゼルビア
【得点者】岡山/5分 押谷祐樹、38分 岩政大樹 町田/31分 中島裕希、59分 鈴木孝司

 

■長澤 徹監督(岡山)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「今回も9000人近くの観衆に入っていただいて、試合を進めたのですが、サポーターのみなさまが期待しているような結果ではなかったので、もっと質を高めて結果を出せるようにしないといけないと選手たちにも話をしてきました。ゲームは町田さんのほうが特殊な距離感を取ってくるチームで、例えるならば昔の京都の大木さんのような距離感でサッカーをやってくるチームでした。相手とやり合いながら、次第に試合のペースを握れるイメージで戦っていました。序盤にピンチがきたけど、中林がしっかりと防いでくれて、その裏返しで先制点を取ることができました。お互いにやり合う中で一番警戒していたコンパクトフィールドからのカウンターで追い付かれても、イーブンであれば試合終盤まで持ち込めると思っていました。落ち着いて試合を進めていたと思う。セットプレーでまた点を取れて勝ち越せたけど、ハーフタイムには必ず激闘になると選手たちには伝えていました。相手も非常に勢いのあるチームなので、紙一重の攻防を制するか、相手の攻撃を防ぎ切れるか。それが勝負を分けるポイントになったと思うし、実際にそのようなゲーム展開になった。選手と確認したことはやるべきことはできているし、基本的な走ることや切り替えなどの状態は悪くないけど、点を取るためにはもう一段上げないといけないということをチーム全体で確認してきた。難しいところに答えがあるのではなく、紙一重でポストに当たったりするシーンが続いているので、(そうした状況を変えるのも)クラブ全体としてのエネルギーの総和だと思っている。そういう意味ではこういう試合を勝ち点3に持ち込むことは昨季からの課題。三日挟んで次の試合では全体の力を結集して、次は勝ち切れるような試合をしていきたい」

ーー2度のリードを追い付かれてしまいましたが、開幕からリードした後のゲームの運び方が課題なのかなと思います。そのあたりについて、監督としてはいかがお考えでしょうか?
「あの失点をどう防ぐかということは、いろいろな切り取り方ができるが、ゲーム運びというよりも本当に紙一重の一瞬のところの集中力と言ってしまえばそれまでなんですけど、良いチームとそうではないチームとの差はそこにあると思う。裏をかかれるとかジャッジを騙すようなプレーではなく、非常にストレートなプレーだったし、集中力というのはチームが勝ち切るためには必要なことになってくると思う。このゲームというよりも日常に答えがあると思うので、もう一度トレーニングからしっかりと引き締めていくことが大事かなと思っている」

ーーリーグ最少失点の町田に対して、どういう形で崩していこうと思っていたのでしょうか? また、実際に戦ってみてのディフェンスの印象はいかがですか?
「もう一回、対戦があるので細かいことはあれですけど、あの距離間の中、自分たちのシステムとのかみ合わせでどこがフリーになるかは共通理解を持っていたし、フリーになった場所からどうしかけるかということは確認して試合に入っていった。非常に狭いフィールドでやるので、ブロック内は速い判断が必要だし、ブロックから出たときが勝負になる。前向きでコンパクトなブロックを組んでカウンターを狙いたいというチームに対して、やりたいこと、相手がイヤがることは何? ということを全体で意識してやっていった。それに対してはある程度、遂行できたし、セットプレーとかでチャンスまでもっていけたので、そこは全体で進めていきたいと思っている」

 

■MF 14 押谷 祐樹(岡山)
キャプテン翼の“ツインシュート”みたいだった
「(試合を振り返って)2度リードして2回追い付かれるとういう、なかなかキツい試合だった。(首位の町田と戦ってみた印象は?)チームとしての連係はすごく高かったし、ディフェンスラインも2点取れたけど、堅かった印象がある。アグレッシブですごく良いチームだったと思う。(早い時間帯の先制点でした)ちょっとオフサイドっぽかったけど、それはお互いさまだと思うし、ラッキーだったなと思う。シュートも(伊藤)大介君も当たっていて、オレも当たっていて、キャプテン翼の“ツインシュート”みたいになっていて、どちらが決めたのかいまいちよく分からなかったけど、オレのゴールになったのでこれでいいやと思った(笑)。(2点目もロングスローから生まれました)そういう点の取り方もできるのはチームとしてすごくプラスの部分だと思うけど、もっと流れの中からも点を取れるようになりたい。(これからの連戦に向けて)ここで勝ち切る試合をやっていくことが重要だと思うので、あとの2試合をしっかりと勝って上位に残れるように頑張りたい」

 

■MF 10 矢島 慎也(岡山)
得点力のあるボランチを目指している
「(試合を振り返って)いろいろあるけど、フワッと入ってフワッと終わった感じがしている。なんで勝っていたのかも不思議だったし、引き分けたことも不思議だった。オレは何をしていいか分からなかったし、よく分からないまま終わってしまった。今年に入ってこういう試合をなくしたいと思っていたけど、負けるよりも悔しいというか、今日の試合はよく分からなかった。(長いボールが多かったのはチームとしての狙いでもあったと思います)チームとしてそれをやっていて、自分はセカンドボールを拾いに行っていた。自分はパスコースを作りながらいつでもボールを受けられるような位置にはいたけど、チームとして長いボールを入れてセカンドボールを拾うという統一感はあった中で、自分も切り替えてセカンドボールを拾いに行っていたけど、うまく拾えなかった。

立ち上がりに大きいことから入っていくことはあると思うけど、ちょっと落ち着いてきてからはつなぎにいってもいいのかなと思いながらやっていた。チームとしては長いボールを送り込んでいくサッカーをしていた中で、自分の中で切り替えてやっていたけど、間、間でボールを受けて押し込んでいくという形はほとんどなくて、やっぱり長いボール一辺倒だと崩れないと思う。ブロックを敷いてボールを取った後のカウンターの質も、後ろからどんどん追い越しに行っているけど質が低いし、課題があり過ぎた試合になった。(あまり時間がない中ですぐに試合がやってきます)いきなりみんながうまくなるわけではないし、オレがめちゃくちゃうまくなるわけではないし……。負けていないということは良いことだと思うし、セットプレーでしか点を取れていないけど、セットプレーで点を取れるチームは強いチームだと思うので、そこは強みだと思う。あとは(1失点目につながったパス)ミスはチームでカバーするものだけど、ああいったミスはJ2でも失点につながるパスミスはある。その後のリアクションで自分たちが防げれば良かったけど、防げないミスもあるということを一人ひとりが自覚してやらないといけないと思った。(ボランチで求められている役割は?)ボールを持って展開したり、前に縦パスを付けたりすること。昨季からやっているので新境地という意識はない。ボランチのほうが自分の良さを出せると思っているので、もっとボールを呼び込みたい。良いポジションを取って前に付けたり、後ろから出て行ってシュートを打つとか、そういうプレーをボランチのほうが出せると思う。ゴールに絡むプレーは課題。得点力のあるボランチを目指しているので点を決めたり、アシストする場面を出したいと思っている。こういう試合をなくしたい。自分が納得できるような試合をやりたい」

 

■相馬 直樹監督(町田)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「ゴールデンウィークの初日に町田からたくさんの方々に来ていただきました。岡山のサポーターの方々も多く、素晴らしい雰囲気を作っていただいた中でゲームができたことに、まず感謝したいと思います。ゲームのほうは早い時間帯に失点をするという、ウチのチームとすればあまりない形でスタートすることになりました。2度ビハインドを負ったのですが、選手たちがチャレンジャーという姿勢を見せてくれた90分だったと思っています。結果的に勝ち点3に結びつくことはありませでしたが、ビハインドを背負ったシチュエーションだったからこそ、前に出るという姿勢を22番目のチームらしく出せたのではないかなと思います。ただ当然、ゴールを取り切れなかったこともありますし、今日のゲームで言うと立ち上がりで失点してしまったことや、リスタートの部分など、いくつか課題や反省点もあったと感じています。連戦ですので、たくさんの修正はできないと思いますが、まずは選手たちの勇気を持った戦いに感謝するとともに、また次のホームに戻って同じようにチャレンジャーらしく勇気を持った戦いができるように、その中で勝ち点3が取れるように、準備したいなと思っています」

ーーどちらもロングスローからの失点でしたが、守備の内容や試合の流れを振り返ってください。
「今日は特に前半、風が強い状況でした。われわれが風下というシチュエーションでスタートし、その中で前にポイントを作られました。実際によくわれわれが相手チームから『肌を合わせてみないと分からない』と言われるのですが、今日はわれわれもそう思った部分がありました。実際に最初には赤嶺選手にボールをかなり収められた時間もあったと思っています。そういったところで後手に回り、スローインであったり、セットプレーであったり、そういう中から失点が生まれたというのは全体の流れとしてあったと思います。立ち上がり、もちろんわれわれがチャレンジャーらしく前で行きたいというのはあるのですが、風の影響や流れと言う部分で相手に出て来られました。その中でのセットプレーは警戒していた部分でした。後半も含めて相手の決定的なチャンスは、セットプレーからの流れだったと思います。そこは一つ改善しなければいけないなと思います。そこにあまり固執しても仕方ないのですが、まずセットプレーの数を減らすことが必要です。(セットプレーの数を)ゼロにすることは当然できませんから、その中でより確度が高い守備をできるようにしていきたいなと思っています」

ーー90分に森村昂太選手に代えて宮崎泰右選手を入れたのは、追加点を奪って勝ちに行くという交代だったのでしょうか?
「そうですね。お互い縦に速い展開になりつつあったので、そこでスピードのある選手を入れました。もう一つ、多少は前に押し込んだ時間でもあったので、ゴールをこじあけるのは外からという意味も含めて、(宮崎)泰右に入ってもらったという形です。その後に岩政選手がスローインの流れも含めて前に上がって、前線に残ってきたので、(キム)ソンギも入れなければいけないなと思っていたところでゲームが終わりました。アディショナルタイムに入る直前の流れで点を取れなかったことが、勝ちを持って帰れないことにつながったと思う。その一方でもう一歩早く手を打てば良かったとあらためて思うところはある」

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ