「ゼルビアTimes」郡司聡

【無料公開】J2・J3入れ替え戦第2戦大分トリニータ戦/大分・柳田伸明監督、町田・相馬直樹監督コメント

▪︎明治安田生命J2・J3入れ替え戦第2戦12月6日(日)12:30キックオフ
大分銀行ドーム/14,217人
大分トリニータ(J2・21位)0-1 FC町田ゼルビア(J3・2位)
【得点者】町田/58分 鈴木 孝司(PK)

 

■柳田 伸明監督(大分)
——まずは試合の総括をお願いいたします。
「本当にもう結果がすべて。3部に降格してしまったことは応援してくださった方々へ、たいへん申し訳なく思っている。試合に関しては第1戦の戦いでまったく自分たちの良さが出せなかったため、ホームでの第2戦は自分たち本来のスタイルを取り戻して、やっていこうと確認しながら試合に臨んだ。みんな立ち上がりからよくやってくれたと思うし、幅をうまく使いながら攻めることは1試合を通してできたと思う。ただゴールをこじ開けられずに、後半にPKを与えてしまい、追い付けなかったことでこのような結果になってしまった。本当に結果がすべてだが、リーグ戦でも、この入れ替え戦の第2戦でも最後まで選手、スタッフはよくやってくれたと思う。これをそれぞれが今後につなげてほしいと思っている」

——途中から就任してこのような結果になったことに対して、どのような責任を感じているのか。監督としてチームをマネジメントする上でうまくいかなかったことは?
「責任に感じては深く感じている。この結果がすべて。マネジメントに関しては、シーズン途中から私は引き継いでいるが、良い試合もあった。ただなかなか自分がこだわってきた部分を追求し切れなかったところはある。それが悪い結果に結び付いてしまったと思う。その原因は伝える側の問題であって、選手はよくやってくれたと思う。浸透させ切れなかったと思う」

——得点が必要な中で、後半20分ぐらいまで2枚目のカードを切りませんでしたが、そこまで時間がかかった原因は?
「サイドはかなり割れていたし、決して得点のにおいがしなかったわけではない。その中で交代のカードを切らずに、そのままで1点を取れればと思っていたし、システム変更をすることも考えていた。結果的に惜しいところまでいったものの、ゴールまで結び付かなかったことが(選手交代が遅れた)理由に挙げられるのかなと思う」

——監督に就任する前は強化・育成部長という立場でチーム作りに携わっていたわけですが、強化の立場でうまくいかなかったことも原因の一つでしょうか?
「それは一つあると思う。当然、監督と一緒にチームを作っていく中で、力を発揮できる選手もいれば、そうじゃないメンバーもいた。そういった意味でも足りない部分はあったと思う」

——高松(大樹)選手は前半でPKを外していたとはいえ、前線で起点を作れていました。交代の理由は?
「まず高松の交代に関しては、前半の立ち上がりで足を踏まれて、本当であればその時点で交代させるほど(のけが)だった。本人は前半が終わるまでやりたいということだったので、起用した。彼がプレーできる状態であれば、できるところまで起用するつもりではいたし、使いたかった。それまでのパフォーマンスが悪かったわけではないし、(PKを蹴ったことについては)本人がPKを蹴りたいと強い意志を持って蹴ってくれたと思う」

——来季は柳田監督自身、どのような形でクラブに関わるのでしょうか?
「今後のことに関しては何かを言える状況にはありません」

——強化部長と監督を1シーズンで歴任する中で、監督としてできなかったこと、強化部長としてできなかったと感じていることは?
「監督としてできなかったことはスタイルの浸透。基軸の部分が徹底してできるようになるとか、正直足りなかったと思う。伝え方の問題などさまざまあると思う。力を発揮できる選手、発揮できない選手といろいろな状況はあるし、その力を信じて獲ってきているが、なかなか力を発揮させることができなかったことに関しては、見る側として反省するところはあったと思う」

1206_0759©FC町田ゼルビア

■相馬 直樹監督(町田)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「まずは、本当に東京から遠いながらも、たくさんの方々に足を運んでいただきました。アウェイの空気だったのですが、その中でも、たくさんの我々への声援を受け、本当に選手は勇気づけられたと思います。それが最後、本当に勝利に結びついた。我々をいつも後押しをしてくださる方々に感謝を申し上げたいなと思います。第1戦の結果を受けて、そういうつもりはなかったのですが、少し守っていたような展開が長ったのかなと思っております。当然、大分トリニータさんは、今日のゲームは条件がある中で勝つ、速い時間で点を取るという圧力をかけてくるのも分かっていました。そういった中で、我々は1つ点を取ればかなりプレッシャーになるということを選手たちと確認して攻める姿勢、チャレンジャーという姿勢ということで試合に臨みました。それでも、セカンドボールの部分や高い位置でポイントを作らせてしまい守備の時間が長くなったと思います。そういった中で不運な形ではありましたが、PKを与えることになってしまいました。そこを、髙原が止めてくれたことがゲームの中で非常に大きな流れになったと思います。前半を失点せずに0-0で帰ってきてくれたことは本当に大きかったと思っております。後半も大分さんの圧力がありましたが、どうしても点がほしいのは相手なので、その流れの中でカウンターのチャンスがいくつか増えてきました。そこは予想していた通りですし、選手にもそう思って我慢するときは我慢して、その中で点を取ることができました。本来ならば、そのあとのカウンターの後もチャンスも決めなけばいけないところだと思います。今年1年間、チーム全体が1つになって戦う、そして相手に最後の部分をやらせないというところは選手たちがよくやってくれたなと、ギリギリのところをやらせないというのは、たくさんの応援いただいた方々、足を運んでくださった方々だけでなく、いろいろな方たちの想いで失点を0で終えることができ、昇格できることにつながったかなと思っております。本当にいろいろな方たちに感謝を、町田が1年でJ2から落ちてしまった経緯がありますが、もう一度J2を長く望んでくださっていた方々におめでとう、とそういうゲームになったんじゃないかと思います」

ーー今日はロングボールも含めた肉弾戦になりました。普段と違うゲームになることを受け入れて試合に入られたのでしょうか?
「スターティングメンバーを確認した時点で長いボールを使って前でポイントを作ろうという相手の意図は分かりましたし、セカンドボールの争いになるであろうという予測の中で選手たちにも話しました。我慢するときは我慢しなければならない、ただ、できれば自分たちがそのセカンドボールを取って戦うことはわれわれにとって、決して嫌いな形ではないので、セカンドボールを取って攻撃につなげたかったのですが、実際はセカンドボールを拾われる回数も多くなり、前でポイントを作られて、ボールを収められて、ファールを与えたことも含めて前半はかなり厳しい展開になりました。セカンドボールが獲れなかった要因としては、おそらく1メートル、2メートルのちょっとした差だとは思うのですが、最終ラインとボランチの間が空いてしまった部分はあるのかなと思っております。それをずっと90分をとおして声をかけていた部分ではあるのですが、エヴァンドロ選手と高松選手のパワフルさに1メートル、2メートル、ラインを下げられてその分、相手にボールを拾われる形が多くなってしまいました」

ーー昨季は3位という結果で入れ替え戦を逃してしまい、今年は2位で入れ替え戦に回りました。去年と今年を分けて考えた時に違いはどこにあるのでしょうか?
「昨年は、序盤にかなり勝ちを重ねることができました。しかし、夏以降に失速してしまったシーズンです。その中で勝ち点1差の3位で入れ替え戦にも出場できない状況でした。今季は昨年の反省もですが、チーム作りをしていく中で、シーズンの最後にチーム力が上がるようなチーム作りをスタッフ、選手たちとしてきたつもりです。そこの部分で大事なのは、いろいろなものを状況的に良い部分も悪い部分もあるけれど、それを受け入れながら一つになって自分たちを信じてやっていくという所です。昨年も同じことを言っているのですが、そこの質、完成度、密度が今季は高かったかなと思っております」

ーー2012シーズンは1年でJ2から降格してしまいました。来季のJ2への課題と意気込みをお聞かせください。
「当然ですけども、われわれはJ3の2位で昇格を決めたチームです。一番最後に来季J2を戦う権利を22番目に得たと思っております。来年のレギュレーションがどうなるかわかりませんが、スタートとして我々は、今日頑張ってくれた選手に言うのも忍びないですけども、あらためて一番下からのスタートだということを、話しをしてチーム作りをしていなかければいけないと思っております」

ーーJ3で2シーズン戦いました。J3で戦う難しさやどういった部分で昇格を勝ち取れたのかをお聞かせください。
「昨年、AC長野パルセイロさんが入れ替え戦に出られました。スコア的には2試合で0-1という結果で昇格できませんでした。J2とJ3の力の差をテレビで観ていて、かなりあるなと感じました。その中で、入れ替え戦に回ったらかなり苦しい戦いになると思っておりました。だからこそ、優勝の自動昇格を狙いました。ただ正直、入れ替え戦を戦う立場になったものとして、今年、J3の舞台を一緒に戦う仲間や戦友たちの代表として、これだけできるというのも見せたかったというのもあります。J3は生半可なリーグではないと思っていますし、本当にいろいろな仕事を抱えてプレーをしている選手たちの想いをピッチでぶつけられた時に、ちょっとくらいうまいだけでは、無力化されてしまうことを昨年からたくさん経験してきました。そのゲームに対する思いや、サッカーに対する思いなど、本当にピッチ上で全員が同じ意識を持つことの大切さであるとか、いろいろなものをJ3の場で学ばせていただいたと思います。それを最後、結果として見せることができたなと思いますし、その厳しいリーグを戦ってきたからこそ、今日があったなと感じております。あらためてですが、ライバルたちにありがとうと感謝を述べたいと思います」

ーー今季、紆余曲折あったと思います。今季、昇格を勝ち獲れたターニングポイントはどこにあったのでしょうか?
「9月20日のホームでレノファ山口さんと戦った、敗戦になると思います。そこが一つのターニングポイントになったんじゃないかなと思います。本当にあとがない状況になりましたので、そこからまた、実際にチームとして一つになれましたし、チーム力が一段上がったことを感じています。あのとき、逆に勝利していたらもしかしたら、もっと難しかったかもしれないとも思っております」

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