【無料記事】明日は株主総会。そもそも株主総会とは? Jリーグクラブ社長のリアル経営日記:Vol.30(2024.4.25)
【2024年4月25日昼:晴れ】
皆さん、こんにちは。
今日の関東は夏のような暑さで、少し歩けば汗が出て、半袖でも十分な陽気です。
今日からは環境省からの熱中症警戒アラートの運用が始まるなど、春がもう終わってしまうような錯覚に陥ります。
さて水戸ホーリーホック。
前節は実に10試合ぶりの勝利で今季2勝目をアウェイの山口で挙げることができました。
先制され、逆転したものの後半早い時間に退場者を出し、ひたすらに守りを固める展開は本当に苦しい試合でした。順位は降格圏から一つだけ上の17位。ここから上昇していきます!
それにしても山口戦は豪雨の中での戦いでしたが、最後まで大きな声と手拍子で選手を鼓舞してくれたサポーターの姿には感動を超えた表現しがたい感情が沸き起こりました。いつもながら感謝しています。
そして同じく退場者を出しながらも奮闘を見せてくれたのが昨晩行われたACL準決勝での横浜F・マリノス。アウェイでの第一戦、蔚山現代に1点差負けを喫したものの昨晩は一気に3得点を挙げ決勝進出が見えたかと思ったところから反撃に遭い、前半40分からは一人少ない中での戦い。何度もピンチを迎えましたが、最後はPK戦で激的な勝利。Jリーグ勢では4クラブ目の決勝進出を果たしました。
私もDAZNで観ていましたが、緊迫した試合展開とマリノス守備陣の奮闘には本当に興奮しました(つい先日の我々の山口戦のデジャヴかと、、、)。
アジアでJリーグ勢が勝つ→クラブワールドカップに出場する→世界中にJリーグの価値を発信する→経済的な還元がリーグにもたらされる。この流れになることは言うまでもありません。Jリーグの価値を高めるため、何としてでもアジアのタイトルを。マリノス関係者の皆さんには決勝戦(5月11日、25日)へ向けて心からのエールを送りたいと思います。
私は明日、定時株主総会を控えています。
株主総会とは一般的に株式会社が事業年度終了後3ヶ月程度(法令の定めはなし)以内に株主の皆さんへ総会開催の案内(招集通知)をお送りし、前年度決算の承認や重要議題を議論、決議。また会社の業務全体への説明、質疑応答を行うものとしています。
選手契約が新シーズンが始まる直前の2月1日からの選手が多いこと、開幕期に合わせシーズンチケットや新ユニフォーム等の販売、計上がされることから1月末日締めの決算がJリーグクラブではほとんどです。すなわち1月末から3ヶ月以内ということでゴールデンウィーク突入直前、4月末のこの時期は続々と各クラブから株主総会で承認を受けた前年度の決算が発表されていきます。
そもそもの売上額は?
昨期からの伸び率は?
黒字か?赤字か?
利益率は?
各クラブの決算の注目ポイントは大体上記になるでしょうか?
Jリーグはクラブライセンス制度において「債務超過」「3期連続赤字」においてライセンス交付停止等のペナルティを設定しています。
しかしながらコロナ禍の特例が現在は設定されており、2024年度からは「3期連続赤字のカウントを開始(2023年度まではカウントせず)」、「債務超過が解消されていなくてもよいが、前年度より債務超過額の増加は認めず。また新たに債務超過に陥ってはいけない」、という内容がライセンス交付条件になっています。
当然のことながら水戸ホーリーホックもライセンス維持(債務超過回避、純資産維持)のため、健全経営を心がけ過剰な投資をすることは避けると同時に黒字確保を常に目指しています。しかしながらクラブによっては「3期連続赤字を避ける」=「2期までは赤字でもOK」の解釈の下で、“勝負の年”と位置づけ選手への大型投資を行うクラブもあります。その場合は赤字額がドーンと大きく発表される場合もあります。もちろん赤字発生は純資産を減らすことになるので、その大きさによっては債務超過も近づくという側面があることは言うまでもありません。
ちなみに昨期(22年期)、Jリーグ60クラブのうち単年赤字クラブは20を超えており今後コロナ特例がなくなる中、「3期連続赤字」ルールのもと、各クラブがどのような経営ハンドリングを見せるのかも、経営目線では注目だったりします。
さて株主総会。
間違えてはいけない段取りがたくさんあります。台本も明日までに何度も読み込まなくてはいけない。想定質問にも、想定外の質問にも対応できるようにする必要があり、スタッフとも綿密な打ち合わせを何度もしています。
株主総会後には記者会見もセッティングされています。
その段取り、準備もしなくては。意地悪な質問されなければいいなと思いながら。
今日は眠れぬ夜になりそうです。
例年、とにかく忙しい4月が終わろうとしています。
世の中は今週末からゴールデンウィーク。
皆さんもぜひスタジアムでJリーグをお楽しみください!
小島 耕