前田監督が宙を舞う。Y.S.C.C.横浜、無敗優勝達成【F2第14節・vs北九州】[フットサル]
2020年1月12日 北九州
(PHOTO,TEXT・佐藤功)
Fリーグ2019/2020ディビジョン2 第14節
ボルクバレット北九州 4―4 Y.S.C.C.横浜
2020年1月12日(日) 北九州市立浅生スポーツセンター 観客数 901人
[得点]
00’46” 北九州 小林謙太
01’38” 北九州 長坪優希
06’41” YS 滝沢拓也
09’40” YS 橋本裕貴
20’27” YS 樋口未樹也
22’44” 北九州 清水誠也
32’41” YS 井原智
38’51” 北九州 米村尚也
▼戦いの続きはF1で
一年前の悪夢が過った。だが、その悪夢をすぐに打ち消してくれたのは、滝沢と橋本だった。彼らの得点で、開始早々の2失点は10分以内で帳消し。その後もお互いに譲らない戦いが繰り広げられる。そして井原が勝利をもたらすべく得点を挙げた。だが後半残り1分、北九州がパワープレーをしかけた直後に失点。そのまま試合終了のブザーが鳴った。
12勝2分0敗。一年前から始まったY.S.C.C.横浜の物語は、無敗の王者で幕を閉じた。
20年1月の優勝決定戦は4-4のドロー、19年9月の首位攻防戦は2-2のドロー、そして昨季は1勝1敗。F2の2年間で北九州との決着は付かなかった。この戦いの続きは、F1の舞台である。
▼最高のライバル
前田佳宏 監督
前田 ボルクバレットの関係者のみなさんやファン、サポーターのみなさんやこんなに会場に来ていただいた人たち、またY.S.C.C.のYouTubeで観ていただいた方、すべての方に感謝を言いたいなと思います。
試合を振り返ると、優勝できてよかったというのが正直なところです。先ほど選手のミーティングでも言いましたが、素直に優勝を喜べないと言うよりも優勝したのかなと、終わった瞬間はそんなに強く思わなかったです。引き分けの悔しさが強く、正直モヤモヤしているところが強いです。
もっと改善しないといけないところだったり、もっと成長していかないといけない部分が沢山見えたゲームだったと思います。これではF1に行って胸を張ってどういうゲームができるのかは語れないと思いますし、下位で争ってという試合になってしまいます。それはクラブ全体が望んでいませんし、旋風を巻き起こすとなるとどれだけ先輩のチームに噛みついていくかが大事になりますので、ここから上を目指してやっていきたいと思います。
F2に二年いましたがボルクバレットとはいろんな戦いがあって、最後の最後もここで回ってくる運命的なものを感じています。馬場監督も言っていましたが、僕たちも最高のライバルだと思っています。F1にお互い上がるということも何かの縁ですし、この2つのチームでF2で上を取っていけばF1で戦っていけるんだと証明したいと思います。この2チームに大きな期待をしていただきたいなと思います。
――立ち上がりで二失点をした時にどのような指示を出されたのでしょうか?
前田 最初の二失点を喰らった時に、北九州さんの攻撃もよかったですし僕たちがすごく硬かったと思います。思い返すと、昨シーズンの最後のデウソン神戸との試合の時もそうでした。僕らのチームはこういう試合展開になった時に硬くなってしまうところが多い。ただ去年の経験もありましたのでなんとか返せるというよりも、やることを変えずに自分たちの一年間を信じて自分たちが今やるべきことを全力でやろうと話しました。失点を喰らうこともフットサルですしいいことも悪いことも両方起きると思うので、選手たちにはこのゲームは喜怒哀楽が起きる、それも全部受け入れてプレーしようと話していたので、本当にそういう試合だったと思います。
――宿本選手は運動量が高いという印象を受けました。彼についてお願いします。
前田 宿本に関して、そう言っていただけてうれしいです。彼がこのキャプテンマークを巻いている意味は、彼が象徴でなければいけないという意味です。僕自身、彼にまだまだ要求しています。F1の屈強な選手たちに力強く勝っていくためにはもっともっとパワフルになっていかないといけないですし、戦術眼ももっと成長していかないといけないと思います。ただ彼はそれを真面目に取り組む心の強さがありますので、全日本選手権もそうですし来シーズンも彼のプレーに期待してほしいと思います。
▼今日は一日祝いたい
宿本諒太
宿本 今日は優勝することがすべてでしたので、その結果を勝ち獲れてよかったと思います。ただ今シーズンは一戦一戦だけを見て戦ってきましたので、今回の試合を勝利で終われなくて悔しい気持ちもありながらというところで僕らも素直に喜べていない状況でしたが、ロッカールームでしっかり喜べてフーイとチーと一緒に喜び合えてよかったと思います。
今日は優勝したことがすべてですので真面目なことや戦術的なことは今は何も考えたくありませんが、今日のままではF1で厳しい戦いが待っているということは選手自身分かっています。そのために全日本選手権も含めて、もっともっと成長していけるようにみんなで頑張っていこうと思いますが、今日は一日祝いたいと思います。
――無敗優勝をした要因はどういったことでしょうか?
宿本 無敗で終えられたことに関しては、先ほども言いましたが一戦一戦をしっかり戦ってきたことです。今季の方がより一戦一戦相手を見て、僕らの戦い方を工夫してやってきたというところが去年とは違います。去年は自分たちだけを見ていましたが、今季は相手を見ながらやっていこうと改善をして、分析して対応できる戦術適応力も高いレベルにできたことが無敗で終えられたところだと思います。
――来季に向けて、F1で戦うために何が必要でしょうか?
F1に上がっていく上で必要なことは、全てにおいて足りない部分はありますけども何が一番戦える部分かというと運動量だと思います。3セット、12枚で戦っていますので、より強度が高いまま維持ができるという利点があると思っています。その運動量や切り替えの速さ、カウンターだったり、もっと磨いていかないといけないと思います。そこからディフェンスで相手に対して食らいついていく、泥臭いことをいかにチームとしてやっていけるのか。弱者の戦いになってしまうかもしれませんがその部分を受け入れてやって、そこに慣れたらクオリティーを上げる。いろんなことを工夫してやっていけるレベルにいけると思います。まずは泥臭くひたむきにやっていくことを、みんなでまたやっていきたいと思います。
――リーグ戦が終った今日、フーイとチーが最後です。彼らとの思い出や彼らがチームにもたらしてくれたものをお願いします。
前田 彼ら二人はベトナム代表で、今年のワールドカップがありますので日本のライバルチームではありますが、彼らから得たことは人間性が大事だと改めて思いました。
彼らからすると、チャレンジすることしかなかった時間だったと思います。言葉も通じませんし文化も違いますし、何もかもが違う。その彼らのチャレンジを見て、僕らもこのFリーグのなかでもっともっとチャレンジをしていかないといけないんじゃないかなと思わされた、それが彼らがいた期間でした。チームが停滞してしまったりクラブが停滞してしまうとよくないと思いますので、僕らは僕らなりのやり方で。ウチのGMは目立つことが大好きですので、これからも目立っていけるようにやっていきたいと思います。
将来的にはこのY.S.C.C.がAFCの舞台に出て、彼らがいるベトナムのタイソンナムと対戦する夢を見ながら日々頑張っていきたいと思います。
宿本 彼らが来ることが決まった時に、いいこともあれば悪いこともあるだろうという話をしていました。たとえば当たり前ですけど、競争は激しくなりますが外されてしまう選手が出てきます。また僕らはチームとしてまとまりがあるところも売りだと思いますけども、言葉が通じないというところで欠如してしまう可能性があるんじゃないかなと思っていました。ですが、来てみたらいいことしかなく、彼らから学ぶこともありました。彼らとコミュニケーションを取るためには言わなくてもわかるということではなく言わないとわからないですし、みんながコミュニケーションを取ることにより意識を向けていましたし、あまりしゃべらない選手も積極的に彼らと話をしていました。ひとりの人間として彼らと一緒にやっていくことは、チームとして大きな経験になりました。シンプルに彼らが持っているものは素晴らしいものがありますので、彼らがいなくなった後の選手権で彼らから何を得たのか真価が問われると思います。
彼には感謝しかありません。ベトナムに行って、彼らと親善試合ができればなと思っています。