「GK選手が水戸の未来を担う守護神達を熱血指導!スクール訪問や全カテゴリー合同GKトレーニングを実施」【HHレポート】※無料記事
手が使えるゴールキーパーは足元の技術だけではなく、さまざまなテクニックが必要となる特殊なポジション。
シーズンオフに突入したGK陣がスクール訪問や全カテゴリー合同GKトレーニングに参加し、水戸の未来を担う守護神達を熱血指導しました。
11月14日、水戸校で毎週木曜日に実施されているGKスクールへ松原修平選手と富居大樹選手が訪問しました。
まずウォーミングアップでは、ペナルティーエリア内をバスケットボールのように手でドリブルし、コーチが指示した数字と同じ人数で素早くグループを結成したり、四角いエリア内にいる鬼に取られないようにボールをパス&キャッチするなど、ゲーム感覚でGKの必須能力である反応や判断の能力を身につけていきます。
そしてゴール前でのキャッチ練習は、プロのGK陣が直々にレクチャー。
富居選手は手が上にも下にもスムーズに出しやすい基本姿勢を見せながら、体全体を使ってキャッチすることの大事さを説いていました。
GKからのボールのみオフサイドなしで行われた5対5のミニゲームは、ゴール数ではなく、GKが好セーブした場合に獲得できるビッグセーブポイントを競う特別ルールで実施。
各チームのGK選手はポイントを奪うために必死に飛び出し、ゴールマウスを守るために健闘していました。
最後はPK戦へ。
こちらはGKが主役の大舞台とあって、スクール生達も大盛り上がり。
同じ背番号のビブスを着た選手同士の対決の後、松原選手と富居選手の守護神同士の決闘が始まると、ピッチ上の熱気はますますヒートアップ。
結果は、シュート、ストップともに成功した松原選手に軍配が上がり、完敗した富居選手はピッチにうつ伏せて悔しさを滲ませていました。
選手とスクール生のPK対決も行われ、大盛況の中、トレーニングは終了しました。
質疑応答コーナーでは「プロのGKになるには?」との問いに対して、「キーパーは身体が大きい方がいいから、あまりゲームや夜ふかしをしないで、たくさん食べていっぱい寝ること。コーチの言う事をしっかり聞いて、今だったら日本代表の鈴木彩艶選手などプロの選手のモノマネをいっぱいして、たくさん練習をして勉強すればなれると思います」と松原選手。
「上手くなるコツは?」について、富居選手は「コーチが言ったことをちゃんと理解して、どうやったら上手くなれるかと自分で考えること。言われたことをただやるんじゃなくて、考えることが大事。言われたことをやってみて、『こういう取り方もあるんだな』と考えながら一つ一つのプレーをやっていくと、実になっていきます」とアドバイスしていました。
その後、GK陣からキーパーグローブなどがプレゼントされるじゃんけん大会やサイン会も開かれ、たくさんの笑顔が咲く中、スクール訪問は幕を閉じました。
11月20日に実施された「全カテゴリー合同GKトレーニング」はトップチームの河野高宏GKコーチの企画で昨年からスタートし、今年で2回目。
水戸のエンブレムを背負う者同士がクラブへの帰属意識を高めながら、双方の成長を促す交流の場でもあり、将来プロ選手を目指す選手との競争の場でもあるトレーニングです。
今回は本間幸司選手と松原選手が参加し、ジュニアからユースまで水戸の守護神候補となる10人の選手がともに研鑽を積み重ねました。
ウォーミングアップの場面では昨年と同様、本間選手が全身の筋肉を意識的に連動してプレーすることの重要性を強調。
29年間もプロとして活躍してきた守護神が、怪我を最小限に抑えながら、年齢を重ねてもいつでもどこへでも動き出せる姿勢づくりを伝授しました。
そして、9つのマーカーの上にビブスを置いてビンゴを目指すゲームでは脳を回転させながら、背筋、股関節、大殿筋、ハムストリング筋など、さまざまな部位をくまなく温めていきました。
合同練習に緊張気味で、練習の中盤になってもコーチングが声も小さく、動作に固さが残る下部組織の選手らに向けて、本間選手は「ダイナミックさを出さないと、良いトレーニングにならないぞ!」と鼓舞。
松原選手は「思いっ切り飛び込まないと、シュートコースを切れないよ」とアドバイスを重ねていました。
4分の1コートを使った3対3では狭いエリアでのシュートストップ、ラストは本間選手と松原選手がゴールマウスを守るミニゲームも行われ、下部組織の選手達は構え方やキャッチング、指示の出し方など、あらゆるプロのプレーを肌で体感していました。
来年は栃木県の矢板中央高校サッカー部でプレーするジュニアユース・清水皇佑選手は「トップと合同でやれるのは、アカデミーならではの良さ。自分では出来ていたつもりでしたが、プロになるにはまだまだ足りていないんだなと気付かされ、良い刺激になりました。日常生活でも歩く姿勢を意識することが大事だと本間選手から学び、それを実践していきたいと思います。水戸アカデミーでの5年間は人としてもサッカーも成長できて、今までの人生の中で一番いい時間となりました。プロの選手達から言われたことをしっかり意識しながら、高卒プロを目指して3年間を過ごしたいと思います」と意気込みを語りました。
昨年は負傷離脱中だった水戸ユースU-17所属の上山海翔選手は、合同練習には今年が初参加。
「トップ選手と一対一で寄せるスピードの違いを体感し、日々の練習での意識が足りないと痛感しました。しかし、プロの基準を知ることができたのは大きな収穫。水戸ユース出身のGKとして第一号のトップ昇格、高卒でプロになることを目指しているので、あと1年でそのレベルに持っていけるようにしたいです」と奮起していました。
クラブ内で誰よりもプロの厳しさを知る本間選手は「今日のようなテンションならば、多分みんなプロにはなれない。練習一個一個にこだわって、もっと迫力を持って、練習に来る前から心を整えて挑まないと、絶対に上手くならないし、自分の目指しているところまで行けない」とあえて厳しく指摘。
今後、GK育成のサポートを希望している本間選手は、各選手の特徴を細かくチェックしながら練習に挑み、「本当に上手で才能ある選手もいます。昨年の合同練習から1年振りに見たら結構変わっている選手もいたので、アカデミーのコーチが僕のメソッドを継続して落とし込んでくれているのかなと思います」と光明も見えた様子。
「今度会った時にみんなが変わっている姿を見てみたいです。そして、いつか僕の背番号1をつけてくれるゴールキーパーが出てきてくれればいいなと思っています」と笑顔で語っていました。
キーパーとしてのメンタル面を重点的に伝えていた松原選手は「非常に楽しかったですし、ゴールキーパーグループ全体のレベルアップができていい取り組み。本当の〝育成の水戸〟になるには、アカデミーからしっかり選手が上がるようにならないといけません。プロに入ったらライバルになりますけれども、そうなれるように願っていますね」と充実感あふれる練習になった模様です。
アカデミーの選手達に向けて、「プロは練習もキツイし、すごく色々なことを要求されます。そこにみんなは来年、再来年に来るかもしれません。学年は関係ないので、色んな人と喋ること。みんなはチームのリーダーであり、嫌なことを言わなければいけないことも、思いっ切りぶつかることもあると思います。そういうことを恐れずに毎日頑張って欲しいです。ホーリーホックから離れる人も同じエンブレムを背負った同士なので一生応援していますし、上のカテゴリーに上がる人は幸司さんをお手本に頑張ってもらいたいです」とエールを送っていました。
水戸アカデミーではGKのポジションでトップ昇格を果たした選手は皆無で、生え抜きのGKの輩出は長年の悲願です。
スクール訪問や合同練習という地道で着実な取り組みは、近い将来、大きな花を咲かせ、実を結ぶことでしょう。