「ともに失敗や逆境をポジティブに捉えて乗り越える。選手とアカデミー選手がオンラインで『ファミリーセッション』実施」【HHレポート】※無料記事
11月5日、トップチーム選手とアカデミー選手がともにクラブバリューを高め合う「ファミリーセッション」がオンライン上で実施されました。
今回のテーマは「ミス・失敗・逆境・うまくいかない時の捉え方・思考法・乗り越え方」。
一見、マイナスに見える失敗や逆境。これらの体験をトップチームの選手の前で発表し、プロのアドバイスでポジティブな経験に捉えて、プロ選手を目指す上で今後に活かすことが目的です。
冒頭で小島耕社長が挨拶し、「失敗は絶対に起きる。その際、逃げることなく、他責にしない。自分以外の人間のせいにすると、自分の成長を得られない。自分に矢印を向ける自責をいつも心がけています。失敗や挫折を避けて通ることは、新たな挑戦、風景に向けて歩いていないと同義語。新しい一歩を踏み出すことが、新しい体験を生んで、新しい感情や経験が得られると思います。明日以降、挑戦する毎日を選んで欲しいと思います」と力強く呼びかけました。
この日はトップチーム選手12名、U13~15のアカデミー選手60名が参加。
12のグループに分かれると、各5名のアカデミー選手が全員自身の実体験を発表し、選手が各々にアドバイスをしていきました。
その後、各グループから代表の選手が自身の経験談を語り、担当したトップチーム選手がそれらに関してコメントする全体発表が行われました。
U15チームでプレー中のU14長谷川侑真選手は、一つ上の学年の選手に対して萎縮してしまい、消極的なプレーが続き、思い描くようなパフォーマンスが出せずに悩んでいました。
そんな中、動画投稿サイトで目にしたある言葉に感銘を受けたと言います。
「『ミスをしたことはない人は、見たことがない』と心が動かされました。次の練習から持っているプレースタイルや得意としていることをやっていこうと思ってから、ボールを持ってゴールまで運べるようになり、自分で得点を決めることもできて3年生に恩返しが出来ました。最後の大会は3年生と笑顔で終わりたいと思います」
長谷川選手に対して杉浦史哉選手は「1個上の学年とやっている中で、不安で自信がなさそうだったのですが、恩返しがしたいと思えるような良い仲間とサッカーができているので、もっと自信を持って、どんどんチャレンジして欲しいと伝えました。自分の強みがあって一つ上のカテゴリーでやらせてもらっている訳なので、もっと自信を持って最後の一週間、後悔のないように試合をして欲しいと思います」とエールを送りました。
鎖骨を骨折中で2ヶ月前から負傷離脱を余儀なくされているU13のGK箕輪滉来選手。
「練習も試合も出られず、他の選手に追い抜かれる焦りや自分の役割がなくなる怖さを感じています。ゆっくり焦らずに治していこうと言われても、なかなかそんな風に考えられませんでした」と不安な心情を吐露。
そして、これまで試合に臨む際、無失点で抑えたい気持ちが強い余り、失点すると『切り替えろ!』とコーチから檄を飛ばされる程、引き摺ってしまうのがウィークポイントでした。
しかし、ピッチ外から仲間の応援している中で気付いたのは、「チームが求めるのは無失点ではなく、試合に勝つ」ということ。
「無失点は自分だけの目標。チームにとっても失点は少ない方がいいけれども、試合に勝つことの方が大事なのだと改めて気付きました。試合中に起きてしまったミスや失点を落ち込んでいる時間はなく、勝つために今は何をすべきか考えるのが重要だと思います。怪我から復帰したら、チームを勝たせるために必要なことは何なのかをもっと考えたいと思いました」とメンタリティーの変化を明かしていました。
箕輪選手にコメントしたのは、同じく負傷離脱中の梅田魁人選手。
「僕と同じ状況にある箕輪君はピッチで気付くことができなかったことに気付くことができた。そういった経験はしようと思ってできることではないと思います。お互い復帰した時に最高のプレーができるよう、常にイメージしながらやろうと伝えました。こういう経験があったから、と後々に言えたら僕らの勝ちだ。お互いに頑張っていきたいですし、僕自身も刺激を受けました」と逆境を覆す意欲を顕にしていました。
U15槍﨑颯選手は小学6年生の時、ジュニアユースの内定を貰えなかった経験を発表。
「当時はすごく悔しかったですが、『セレクションで絶対に受かってやるぞ』とポジティブに捉えました。しかしどうすればいいか悩んでいた所、コーチに『自分の特徴を活かすプレーをすることが大切』と言われて、練習や試合に取り組み、自宅でもすぐにボールを触って練習する時間を増やしていました。セレクションではその努力の成果が出て、納得のいくプレーが出来ました。これからも上手くいかずに嫌になることがあると思うけれども、サッカーだけでなく色々なことも諦めずにやり続けることが大切だとわかりました」と語りました。
この発表を受けてブワニカ啓太選手が全員に伝えたのは、「何歳になってもリバウンドメンタリティーが必要」ということ。
「自分の足りないところを自分で研究して、また同じ目標に突き進んでいく。プロとして生活している上で、試合で負けた時はものすごくショックを受けますが、また次の目標が待っています。リバウンドメンタリティーは勉強においても、自分たちの仕事のサッカーにおいても大事です」と述べていました。
アカデミー選手は、全員プロサッカー選手を目指す選手達。
そのプロ選手を選ぶ立場にある西村卓朗GMが今回の総評を語りました。
西村GMが選手を獲得する際、ポイントにしているのは「主張力」と「傾聴力」。
特に上手くいかない時こそ、「傾聴力」「言行一致」が必要だと語ります。
「全ては想いから始まります。何かを続けていくと、必ず上手くいかないことが訪れます。しかも何度も訪れます。上手くいかない時はその瞬間の想いに持っていかれてしまうけれども、その時に大事なのは最初に思い描いた想い。自分の想いを周囲の関わりによって、どんどん磨かれていきます。両親、監督、コーチ、仲間の意見やアドバイスに必ず耳を傾けられる人になって欲しいです。そして、その想いに行動をしていく『言行一致』を実践して欲しいです」と強調します。
そして、「苦しくても続けることがチャンスの傍に居続ける唯一の方法」という自身が中学時代から大切にしてきた言葉を紹介。
「プロサッカー選手は多くの人に影響に与えられる存在。それをいつも忘れないで行動していって欲しいです」と締め括りました。