「ベトナムリーグ所属ソンラム・ゲアンFCのユース選手とコーチが短期留学」【HHレポート】※無料記事
10月20日~29日までベトナムVリーグ所属のソンラム・ゲアンFCからレ・ディン・ロン・ブー選手とファム・グエン・クオック・チュン選手、チャン・クアン・ズンコーチの3名が来水し、ジュニアユースからトップチームまで練習や試合に参加。
Jクラブのトレーニングやピッチ内外の環境を体験しました。
ソンラム・ゲアンFCはベトナムの北中部のゲアン省に拠点があり、2016年に在籍し、現在は横浜FC所属のベトナム代表グエン・コンフォン選手が下部組織時代に所属していたクラブです。
今回、来水したレ・ディン・ロン・ブー選手はベトナムの年代別代表選手。
卓越した技術とスピードを活かして果敢にゴールを狙うMFで、イギリス紙「ガーディアン」の2023年版「世界で最も才能のある若手選手60名」に選ばれた逸材です。
ファム・グエン・クオック・チュン選手は運動量豊富なプレーと守備力が光るSB。
チャン・クアン・ズンコーチは「二人とも将来を期待されている選手で、特にブーは将来のベトナム代表候補の一人として有望視されています」と語ります。
21日は水戸市河和田町のツインフィールドで行われたジュニアユース対湘南ベルマーレEAST(U15)の試合に出場。
左ウィングで出場したレ・ディン・ロン・ブー選手はゴール前に何度も切り込みチャンスメイクをし、ファム・グエン・クオック・チュン選手はボランチとして攻守で躍動していました。
レ・ディン・ロン・ブー選手は「コミュニケーションが難しく、ゴールが決められませんでしたが、高いレベルのチームでサッカーが経験できました。真面目に練習に取り組む日本人選手の姿勢、クロスなどスピード感のあるゴール前の技術を学んでいきたいと思います」と意気込み、ファム・グエン・クオック・チュン選手は「出場前にどんなサッカーをするのかチェックしていたので、上手く入れたと思います。前後に上手く配球できて、守備も頑張りました。今回は戦術やポジショニング、規律正しいチームの姿勢を習得したいです」と話していました。
一緒にプレーしたU-15藤川健太郎選手は「ベトナムの選手らは技術が高く、自分からボールを積極的に要求して、視野が広いプレーをしていました。外国人選手と初めて一緒にプレーしたので、新しい良い経験ができ、学ぶべき点がたくさんありました」と刺激を受けた様子でした。
今回の取り組みは、アジア全体のレベルアップを図るJリーグのアジア戦略の一環。
Jクラブのトレーニングや日本での生活を体験してもらい、将来的にJリーグの第一線で活躍する選手を育成することが主な目的です。
ベトナムサッカー連盟と提携し、水戸ホーリーホック、横浜FC、ジュビロ磐田の3クラブが合計8名のユース選手やコーチを受け入れています。
Jリーグ海外事業部の伊藤緑さんは「Jリーグではアジアの中ではすでにタイ人選手が活躍していますが、ベトナム人選手も後に続いて欲しいと考えています。今回は10日間程度の滞在ですが、トップチームのゲームから下部組織のトレーニングや生活環境など色々と得たことを持ち帰ってもらい、今後の強化に活かして欲しいと思っています」と語ります。
水戸ホーリーホックは今年5月末、ベトナムでソンラム・ゲアンFCのオーナー企業と会談。
11月2日~6日には水戸ユースがベトナムに遠征し、PVF VIETNAM(ベトナム)、VITTEL(ベトナム)、アスルクラロ沼津と総当たり戦をする「U-17 New Generation CUP 2023 in Vietnam」に出場するなど、ベトナムのクラブとの関係性を深めています。
経営企画室の市原侑祐さんは「東南アジアのクラブとの提携・連携はクラブとして目指しているところです。今年春にドイツのクラブと提携してそのノウハウを学んでいますが、東南アジアのクラブに対しては逆に我々の経験やノウハウを提供する側になることで、ASEAN諸国とヨーロッパに複数のパイプを作りたいと考えています。今回はユースがベトナム遠征しますが、アカデミーを通じて中長期的にビジネス、フロントスタッフの連携も視野に入れています」と狙いについて語っています。