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「水戸ユース、7発大勝で首位をキープ。内田優晟選手はハットトリックを決めて、上田綺世選手の記録まであと4点に迫る」【育成NOW】※無料記事

【写真 佐藤拓也】

11月19日、水戸ユースはつくば市のセキショウチャレンジスタジアムで高円宮杯IFA U-18リーグ1部第16節水戸商業戦に挑みました。

リーグ戦も今節を含めて、残り4試合。水戸ユースは現在2位鹿島アントラーズユースBと勝ち点3差で首位を走っており、ここからラストスパートをかけて今季こそ優勝という結果をつかみたいところ。まずは今節の勝利が求められました。

【写真 佐藤拓也】

今節、樹森大介監督が最も選手たちに強く伝えていたのが、「試合の入り方」についてでした。全国高校サッカー選手権大会県大会が開催されたため、リーグ戦はイレギュラーなスケジュールとなっており、11月3日以来2週間ぶりの公式戦となりました。

また、高校3年生の選手たちにとっては、進路の重要な時期であり、今節は大学の入試の関係で数人の選手が欠場となりました。そうした状況で迎えた一戦だけに、選手たちの試合勘を懸念した樹森監督は「試合の入り」を強調して、選手たちを試合に送り出しました。

【写真 佐藤拓也】

キックオフからギアを全開にして水戸商業に立ち向かった水戸ユースがスピーディーなボール回しを見せて押し込む展開を築きます。内田優晟選手のポストプレーを活かしながら、両サイドを効果的に使って水戸商業ゴールに迫っていきました。

【写真 佐藤拓也】

しかし、自陣でブロックを作る水戸商業の守備をなかなか攻略することができませんでした。ゴール前で体を張って粘り強く対応する水戸商業の気迫のこもった守備に苦しめられる時間が続きました。

【写真 佐藤拓也】

それでも、水戸ユースは攻め続けました。そして、30分についにゴールネットを揺らして見せたのです。左サイドバックの山本陽大選手が挙げたクロスは飛び込んだ内田選手の頭上を越えてファーサイドへ。そのままゴールラインを割るかと思われたところ、怒涛の勢いで立花康生選手が走り込み、右足で合わせてゴールネットに突き刺して待望の先制点を決めたのです。このゴールを皮切りに水戸ユースのゴールラッシュがはじまりました。

【写真 佐藤拓也】

そして、この日が18歳の誕生日の内田選手が爆発を見せました。32分、右サイドから中央に切り込んだ上野山叶夢選手のスルーパスを受けた内田選手が豪快にゴールネットに叩き込むと、44分には左サイドからのクロスを頭で合わせて押し込むと、その1分後にも左サイドからのクロスをやや下がった位置で待ち受けた内田選手がドンピシャボレーを突き刺して、わずか15分弱でハットトリックを達成。上田綺世選手が持つ年間33点というリーグ記録にあと4点と迫りました。

【写真 佐藤拓也】

後半に入っても、水戸ユースの猛攻が続きました。63分に金子弘樹選手からのループパスを受けた上野山選手が蹴り込んで5得点目を挙げると、その後も攻め手を緩めずに再三チャンスを作りました。ただ、5点を失っても水戸商業の選手たちは集中力を切らすことなく、粘り強い守備を見せたため、なかなか追加点を奪うことができませんでした。しかし、後半アディショナルタイムに菅野波琉選手からのスルーパスを受けた市村慎之介選手がGKとの1対1を沈めて6点目を決めると、その1分後には右CKを堀米遥斗選手が合わせて7点目をゲット。水戸ユースが自慢の攻撃力を存分に発揮して、勝利をおさめました。

【写真 佐藤拓也】

残り3戦を残して首位を走っていますが、チームに慢心は見られません。それは首位の状況で挑んだ最終節で敗戦して優勝を逃した昨季の苦い経験があるからこそ。同じ失態を繰り返さないために、試合後も選手たちは気を引き締めていました。中3日で古河第一戦が控えており、そして、26日には2位鹿島ユースBとの首位攻防戦に挑みます。この連戦を制して、優勝、さらにはプリンスリーグ参入へと突き進んでもらいたいと思います。

【写真 佐藤拓也】

コメント

【写真 佐藤拓也】

〇樹森大介監督
Q.今日の試合を振り返ってください。
「公式戦が離れていたので、入りのところが難しいかなという話をしました。ただ、思い切ってやっていこうということで送り出しました。ウチはチームとしてかなり積みあがっている状態なので、ゲーム感覚、公式戦の雰囲気が悪い意味で変な風にならないか心配だったんですけど、試合に入ったら特に変になることはなく、なかなか点が入らず、焦れてしまうようなところはありましたけど、我慢強く戦うことができていました。先制点が入ってからは難しいこともなくなったので、気持ちよくプレーできていたように思いました」

Q.残り3試合となりました。このまま首位を維持して優勝したいですね。
「昨年は最終節まで1位だったのに、最終節で大逆転をされてしまいました。そういう悔しい思いをしているので、今年はしっかり優勝して、プリンス参入戦を勝ち切るところまで目標設定に入れています。まずは県リーグを優勝して、プリンスリーグへの挑戦権を手に入れた。3年前、昌平高校に負けた悔しい思い出はまだ残っているので、リベンジしたいと思っています。勝ち切って、昇格することしか考えていません」

Q.チームの状態もよくなっているように感じましたし、今日はいろんな選手を起用して、新たな組み合わせも見えたのでは?
「来週は水曜日と土曜日に連戦となるので、できるだけ早いタイミングで交代していろんな選手にチャンスを与えようと思いました。今日は早めに交代をしました。あとは大学の入試で今日の試合に出られない選手もいましたし、来週も出られない選手もいます。こればかりはしょうがない。そういうストレスの中での試合なのですが、すごく集中してプレーしてくれたと思っています」

【写真 佐藤拓也】

〇立花康生選手
Q.貴重な先制点を決めました。振り返ってみていかがでしたか?
「相手が引いてきたので、なかなかボールを持って前に行くことができませんでした。なので、クロスに合わせるのを狙っていました。あの場面は(山本)陽大が上げたクロスに対してファーサイドに飛び込んだら合いました。決めれるか分からなかったんですけど、決めれてよかったです」

Q.内田選手がニアに入って、立花選手がファーに入る形でした。
「内田君が相手のマークを釣ってくれたので、自分が空いて決めることができました。内田君に感謝しています」

Q.水戸ユースに対して引いてくるチームは多いと思います。今日もそういう戦いをされることは予想していたのでしょうか?
「していました。でも、思った以上に難しかったです。縦パスが入った時にプレスバックをして挟まれてしまっていたので、なかなかいい形でボールを受けることができませんでした。監督からはワンタッチではたくように言われていて、それが何回か出せたことはよかったと思っています」

Q.押し込みながらもなかなか点を取れず、焦りはありませんでしたか?
「先制点が入るまではありました。1点取って、かなり気が楽になりました」

Q.選手権予選で中断していたリーグ戦の再開初戦でした。そういう意味でも大事な試合でしたね。
「試合の期間が空いてしまって、気持ち的に難しさはありましたけど、徐々にいつも通りのプレーができるようになって、たくさん点を取れたのでよかったです。ただ、これから3連戦なので、この調子を落とさないようにやっていきたいと思います」

Q.昨年は最終戦で悔しい思いをしました。その経験は生きていますか?
「自分はけがをしていて、最終戦出られなかったんですけど、昨年は本当に悔しい思いをしました。今年もリーグ序盤戦はけがで出られない時期が続いたんですけど、今はコンスタントに試合に出ることができているので、このまま勝って優勝したいと思います。そのためにも、次の古河一とアントラーズに絶対に勝ちたいと思います」

Q.アントラーズユースBには前期負けていますし、現在2位の相手だけにしっかり叩いて優勝を決めたいですね。
「直接対決となるので、しっかり勝って、最終戦で明秀日立にも勝って、いい形でプリンス参入戦に臨みたいと思います」

【写真 佐藤拓也】

〇山本陽大選手
Q.試合を振り返ってください。
「今日は全体的にいいプレーができていなくて、自分としても、アシストはできたんですけど、ビルドアップのところでのミスが多い印象でした」

Q.大きな先制点のアシストを決めました。
「トラップした瞬間に(立花)康生がファーに走っているのが見えたので、合わせるだけでした。狙い通りでした」

Q.相手が引いてきて難しい展開が続きました。焦りはありませんでしたか?
「焦りはありませんでしたけど、入れるべきタイミングじゃない時に縦パスを入れてしまうことが多かったので、もっと相手を揺さぶることをしてもよかったかなと思います」

Q.左サイドから効果的に攻撃を仕掛けることができていました。
「最近、クロスを上げる回数が減っていて、自分は元々クロスを武器としている選手なので、最近はクロスを上げることを意識していました。今日はうまくクロスを上げることができてよかったです」

Q.リーグ中断明けのゲームでした。難しさはありましたか?
「期間が空くと、ゲーム勘がなかったり、心肺機能も落ちていたりするので、結構難しさはありました。それでも大勝できたことはかなり大きいです」

Q.リーグ戦は残り3試合となりました。
「3試合、一つも落とさなければ優勝することができます。緊張感はあるんですけど、今の自分たちなら、一つも落とさずに戦えるとは思っています。そのためにも練習から甘さを出すことなく、全員で100%の状態で準備をしていくことが大事になると思います」

Q.今節から3連戦です。来週には2位のアントラーズユースBとの対戦もあります。
「連戦はあまり経験がないので、スタメン以外の選手もしっかり準備しておくことが大事になると思います」

Q.昨年悔しい思いをした今年生きていますか?
「1年の時はBチームで、一度もAチームでプレーしたことがなかったので、経験していないんですけど、昨年経験している選手が多いだけに、そこは生きていると思います」

Q.プリンス昇格に向けて意気込みは?
「シーズンがはじまる前からチーム全員の目標として頑張ってきました。絶対にプリンスリーグに昇格したいと思っています」

Q.そのために必要なことは何だと思いますか?
「自分たちは大事な試合で勝ち切れないことが多い。精神的な弱さがある。だからこそ、『絶対に勝つ』という気持ちを全員が持って一つになれば、勝てると思う。あとは自分たちのサッカーをどれだけ出せるかというところになると思います」

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