「アカデミーからトップチームまで190名参加。全員でバリューを高め合う『2022ファミリーセッション 心が大きく動いた出来事~喜怒哀楽~』」【HHレポート】※無料記事
水戸ホーリーホック全員でバリューを高め合う「2022ファミリーセッション 心が大きく動いた出来事~喜怒哀楽~」が11月3日にオンラインで開催されました。
水戸ホーリーホックのバリューとは、チームワークを発揮する「協働」、なぜを問い続ける「本質」、前に踏み出す「挑戦」、高いレベルで要求し合う「本物」、感性を磨く「粋」、相手を思いやる「仁」、自分に正直である「善」の7つの項目を指します。
今回のファミリーセッションでは、サッカーや日常生活で得た喜怒哀楽を共有することで、今後のサッカー人生や取り組みに活かそうと、アカデミーからトップ選手、秋葉忠宏前監督などの指導者、小島耕社長をはじめとするフロントスタッフ約190名が参加しました。
参加者らはまず全体でクラブ理念を再確認すると、AからVまで22のグループに分かれて、秋葉前監督や小島社長、各選手の心が動いたエピソードに耳を傾けました。
秋葉前監督が披露した出来事は、中学2年生の時に経験した約一ヶ月半のブラジル留学。
活発な少年だった秋葉前監督は、思春期に差し掛かると、「人に挨拶したり、両親と一緒にいる所を見られたり、サッカーで失敗するのが恥ずかしい」と次第に何も挑戦しなくなってしまったそうです。
そんな息子の姿を見るに見かねた秋葉監督の父親は、夏休みの1ヶ月半、強制的に単身でブラジル留学をさせることに。
日本語がほとんど通じないブラジル人宅でホームステイを余儀なくされた秋葉前監督は、最初はサッカーが身に入らず、ブラジル人家族との交流にも消極的だったのだそうです。
しかし一週間が経った頃、決して諦めないブラジル選手のプレーを見た秋葉前監督は、「失敗しても『次は成功させるから!』とずっと何回もボールを要求する。失敗することよりも、やらなくなることが駄目だ。恥ずかしい、怖い、みっともなくても、どんどんトライしなければいけない」と心が動いたと言います。
そして帰国後、懸命にトレーニングに打ち込んだ秋葉監督は、校内で最も上手い選手となり、千葉の名門である市立船橋高校への道が開けたそうです。
「やらないことが一番良くない。トライし続けることを意識して日々努力して欲しいです」と強く伝えていました。
グループセッションではトップチーム1、2名、アカデミー選手5~7名のグループに分かれ、マスコミにインタビューを求められた時を想定しながら、2分以内に話を簡潔にまとめながら発表。
そして、各グループのトップチーム選手が印象に残ったアカデミー選手一人を選出し、全体でそのエピソードを共有しました。
北海道コンサドーレ室蘭U-15に所属していたU-17の渋谷一希選手は、樹森大介選手が水戸ユースにスカウトしてくれたことを挙げ、「親元を離れることは心配だったけれども、プロになりたい想いが強く、ユースに入ることが一番の近道だと思い、親とじっくり話し合い、自分で水戸に来ることを決めました。サッカーが楽しく、中学時代の時以上にプロになりたいと強く思うことが出来ていて、自分の決断が正しかったと感じています」と語っていました。
腰椎分離症を繰り返したU-15の上山海翔選手は、周囲に置いていかれているようで焦り、絶望してしまった経験を語り、「リハビリを続けていく中で、トレーナー、コーチなどの助言で復帰した時に頑張りたいとポジティブに持っていけました。怪我をしている時間は自分にとって大切な時間だったと感じました」とプロになった時にも活きる心構えが出来たことを明かしました。
U-14の後藤伸之助選手は、祖父の葬式での様々な出来事について語り、「祖父の残してくれたものは、人と人とのつながり。挨拶や感謝を忘れず、相手を思いやる気持ちを持ち続けなければならないという大きな学びを得ました。祖父からのバトンを受け取った自分は、サッカーで世界中を笑顔にしたいです」と感性豊かなエピソードを披露。
水戸ユースキャプテンの菅野波琉選手は、責任ある立場を経て、自身の成長を実感したことを語り、「自分のことよりも他人やチームを優先しなければならない時があり、良い方向にまとめながら自分を表現することは辛いことが多かったです。しかし足りない部分など、客観的に見られることで、人として成長できたと感じます。今季はIFAリーグ優勝、プリンス昇格の可能性があり、自分が主体となってまとめて、絶対に目標を達成したいです」と意気込んでいました。
U-18の辻井恭平選手が心動かされたのは、今季最終戦のセレモニーでピッチ中央に立った時のスタジアムの景色や臨場感。
「『ここでプレーしたら最高なんだろうな』『4年後に絶対このチームに戻って来るぞ』と新たな夢が出来た瞬間でした。エリートリーグや練習参加した大きな経験を活かし、大学4年間を自分なりにどう過ごすかが大事」と決意を顕にしていました。
各選手のエピソードに対し、トップチーム選手や西村卓朗GMが自身のプロ経験を踏まえてコメントし、全ての喜怒哀楽がサッカーやその後の人生に活きることを伝えている様子でした。
最後に小島社長が、3年前に逝去した実父とのエピソードを披露しました。
鉾田市出身の小島社長は、2019年春にホーリーホックへ入社した直後に父親を亡くし、「地元に戻ったことを喜んでいた父に、自分の活動や活躍を見せられず、今でも悔しく寂しく思います」と心境を吐露。
そんな最愛の父親が残してくれたのは、「水戸ホーリーホックに関わる全ての人達を幸せにする仕事をしなさい」という言葉。
「クラブの皆さん、その家族、これまで支えてくれた人達などを幸せにしなければいけないと、その言葉を聞いた時に強く感じました。今日、皆さんの色んな想いを聞いて、より気が引き締まりました。また明日から皆さん、クラブ、自分のために頑張ろうと思いました」と小島社長自身も心動かされたセッションとなったようでした。
水戸ホーリーホック全体のサッカーや人生と向き合う意識、互いの絆を更に強めたファミリーセッション。
これからもアカデミーからトップチームまで一丸となって、「人が育ち、クラブが育ち、街が育つ」というミッションを成し遂げ、「新しい原風景をこの街に」生み出していくことでしょう。
(米村優子)