デイリーホーリーホック

秋葉忠宏監督インタビュー①「様々なアクシデントがあった中、負けないマネジメントはできたけど、勝たせるマネジメントができなかった」【インタビュー】※無料記事

今季限りでの退任する秋葉忠宏監督。
20年に就任すると、「攻撃的な姿勢」を植え付け、
守備的のイメージが強かったチームを変革した。
そして、若い選手たちを鍛え上げて、毎年多くの選手をJ1へと送り出した。
「育成」と「結果」を追い求めた3年間。
エモーショナルな日々を振り返ってもらった。
(全5回)

【写真 水戸ホーリーホック】

Q.3年目のシーズンが終わりました。あらためて、今季の成績についてどのように受け止めていますか?
「3年間で一番順位が低かった。ただ、今季はJ1参入プレーオフが復活して、6位以内という大きな目標ができたので、シーズン終盤まで緊張感のあるゲームができたということに関しては僕も選手も非常にやりがいのある、充実感のあるシーズンだったと思います。ただ、プレシーズンマッチで鹿島に勝って、自信を持って挑んだ開幕戦が突然中止となってしまうなど、様々なアクシデントがあったシーズンでした。また、1週空いて行われたホームの第2節仙台戦ですごくいいゲームをしたにも関わらず、勝てなかった。その後も横浜FC相手に2点リードしながら、逆転されることもありました。攻撃陣が入れ替わったので、シーズン序盤は苦しむだろうなと思っていましたが、J1から降格してきたチームとの対戦が続いたこともあって予想以上に苦労しました。一時は残留争いに巻き込まれることもありました。6位以内を目標にして、『新たな景色を見よう』という話をしていましたが、思っていた以上に苦しい立ち上がりとなりました」

Q.第10節過ぎからチームの状態は上がっていきました。
「そこからいろんなことがかみ合っていって、選手たちも戦い方を理解していき、お互いに特長をつかんでいった中、点を取れるようになってチームの状態は上がっていきました。あと、セットプレーはシーズン通しての課題でしたね。セットプレーで点を取れると、第41節栃木戦や第42節群馬戦のような試合ができるようになる。年間通して、そこは反省点でした」

【写真 水戸ホーリーホック】

Q.3年間で最も失点を減らすことができた反面、得点も最も低くなってしまいました。
「今年はDFの主力が残ったこともあり、守備はだいぶ安定していたと思います。その分、攻撃力が物足りなかった。47点しか取れませんでしたから、もう少し何かできたのかなと思っています。組み合わせの問題なのか、崩しのところの問題なのか。最後は個の力が大きいんですよ。僕はタレントに合わせてチーム作りを行いますから。今年はクロスが少なかったですし、最初はミドルシュートばかり決まりましたが、本当はもっとボックス内に入って攻撃を仕掛けたかったという思いもありました。セットプレーは、1年目はたくさん点を取れたんですけど、2年目と3年目はあまり取れませんでした。なかなかすべてがかみ合うということはないものですね」

Q.前述の通り、アクシデントの多いシーズンでしたが、チームが崩れるようなことはありませんでした。
「チームが一つになってまとまって戦うことは水戸のDNA。ハードワークして、最後まであきらめない、戦い続けて、体を張り続けるという伝統とDNAが残っている。そういった意味で守備が安定した中で上昇気流に乗ったところがありました。ただ、唯一心残りなのが3連勝できなかったこと。今年は2連勝すると、コロナ感染者が出るなど、いろんなアクシデントが起きてしまった。それも含めてチーム力なんですよね。神様がもっと精進しろと言っているんでしょうね。大きな連勝がなかったから、6位に届かなかった。ただ、最後に4連敗したものの、それまで3連敗はなかった。負けないマネジメントはできたんですけど、勝たせるマネジメントができなかった。そこは悔やまれます。多くの選手を起用しながら戦っているメリットとデメリットがあるんですよね。誰が出てもチーム力を落とさず戦えるから連敗はないですけど、メンバーを固定させた方が連勝しやすい。とはいえ、けが人が出ると崩れてしまう。コロナもありましたし、何が起きてもいいようにいろんな選手を使いましたし、競争を促して選手は成長していったので、チームとして力をつけていったと思いますが、メンバーを固定していれば、大きな連勝ができたかもしれない。でも、自分のやってきたことに悔いはありません。選手たちは本当によくやってくれたし、自分もそれが最善だと思って3年間やってきたので、悔しさも後悔もないです。でも、大きな連勝をしたかったなというのが正直な感想です」

(②に続く)

(取材・構成 佐藤拓也)

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