デイリーホーリーホック

「MVP初の小学生講師が環境負荷を減らす大豆ミートの活用を提案。クラブとのコラボ実現に向けて選手らと意見交換」【HHレポート】※無料記事

【写真 米村優子】

水戸ホーリーホックが2018年から実践する選手やパートナー企業のキャリア形成に関する知識習得・人材育成研修プログラム「Make Value Project(MVP)」が8月17日に城里町「アツマーレ」で開催。
MVP初となる小学生講師を招いた今回は、選手や練習生らが環境問題について学び、その解決策の一つとなる大豆ミートを試食しながら意見交換をしました。

【写真 米村優子】

今回の講師は、守谷市在住の田島修太さん(黒内小6年)。
幼い頃から励んでいるサッカーを優先したいがために、通っていた私立から現在の地元の学校に転校したという熱血サッカー少年です。
そんな田島さんはニュースでCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)を見たことで環境問題に興味を持ち、Jクラブがどのような環境問題に取り組んでいるか、全クラブにアンケートを実施しました。
その内、13クラブから返答があり、オンラインで2クラブ、対面で2クラブに具体的なヒアリングをして、取りまとめた結果を自由研究として発表しました。
水戸ホーリーホックとはそのアンケートを通じて接点が生まれ、田島さんの取り組みに興味を持った沼田邦郎会長や小島耕社長らと実際に対話したことから、今回のMVPが実現したのです。

【写真 米村優子】

田島さんの思い描くビジョンは、「日常的に環境問題への配慮が行える世界を創る」。
つまり、「電気をこまめに消して節電する」など、日常生活で意識せずとも普段の生活を送りながら環境が保てる仕組みをつくることを目指しています。
田島さんの調べでは、世界の生活レベルの上昇に伴い、貧困人口が減ったことで、食糧不足の問題が更に深刻化。
しかし現在の工業型畜産が引き起こす問題は多々あり、特に肉の生産中に発生する温室効果ガスの排出量は自動車、航空機、船舶など移動運搬機械のCO2排出量と同等レベル。世界的な水不足も地球環境の問題となっています。
田島さんは「牛肉1kg生産するために必要な水の量は?」と質問を投げかけると、選手らは「1000リットル?」「1万リットル?」「100万リットル?」と皆目見当もつかないようでしたが、正解の「2万リットル」を知ると、その必要量の多さに驚いている様子でした。

【写真 米村優子】

貴重な水の消費量や温室効果ガスの排出量を減らすために、田島さんが解決方法の一つとして提案しているのが大豆ミートの活用です。
大豆ミートとは、大豆を加工して肉の食感を再現した加工食品。肉を食べないベジタリアンやヴィーガンにお馴染みですが、環境負荷が低い食材であることや健康志向の高まりから人気が上昇し、今ではスーパーやドラッグストアで手軽に入手でき、大手ハンバーガーやカフェのチェーン店でも味わうことができます。
大豆ミートは家畜の生産に比べてコストが高く、加工する過程で添加物がかなり入るデメリットがありますが、「栄養価が非常に高く、生産過程で温室効果ガスを排出せず、水の消費量を減らせるメリットがあります。この大豆ミートを広く普及させたいです」と田島さん。
実は水戸ホーリーホックでは、今年6月から農業ブランド「GRASS ROOTS FARM(GRF)」の城里町内の圃場で大豆の栽培をスタート。
まだ構想段階ですが、10月23日のホーム最終戦でオリジナルの大豆ミートを使った商品の販売に向けて動き始めていることを知った選手らは、「小学生なのに素晴らしい」(安永玲央選手)、「言う事ないです!すごい!」(鵜木郁哉選手)と感心しきりでした。

【写真 米村優子】

その後、1階調理室で大豆ミートボールの試食会を実施。
田島さんと共にプロジェクトを進める友人の髙本由梨子さん(開智望小6年)が、「一日大豆を水に漬ける」「フードプロセッサーで細かく砕く」など、インターネットの情報を参考に完成させたオリジナルのレシピ本を選手に見せながら製造過程を説明すると、調味料を入れる所から調理を開始しました。
大豆ミートを手で丸め、焼き、ソースを絡める工程では、選手もサポート。
寮生活中の大卒ルーキートリオは久々の料理を楽しそうにこなし、あまり料理経験がなさそうな8月の新加入選手らは「上手です!」と褒められると、嬉しそうな表情を見せながらフライパンを回していました。
そして完成した大豆ミートを初めて試食した選手らは「豆腐ハンバーグみたいで美味しい」「レンコンが効いてる」と称賛しながら全員ペロリと完食。
その後は販売実現に向けた改善点など意見を交わして、今回のMVPは幕を閉じました。

【写真 米村優子】

料理も得意なGRF宣伝部長の村田選手は「大豆ミートは初めて食べたのですが、美味しかったですし、可能性を感じました。思ったよりも簡単そうだったので、自分で作ってみようと思います」と高く評価し、講演に関しては、「以前、畑でもお会いしましたが、素晴らしいの一言。誰もが取り組まなくてはならない環境問題をサッカークラブとしてどう発信していくか問われる中、実現すればとても良いコラボレーションになると感じました。僕自身、より広く発信に携わっていきたいと思います」と感銘を受けた様子。
MVPに初参加した安永玲央選手は「豆の風味が強かったので、そこを改善すればもっと食べやすくなると感じました。今回、一番学んだことは『思ったことを、まず行動に移す』。様々な視点で物事を捉えられるよう、MVPを通じて色々と吸収していきたいです」とコメントしていました。

【写真 米村優子】

田島さんは「肉より味のランクが下がる大豆ミートのメリットをもっと増やさなければならないと新たな課題を得た機会となりました。選手は発信力があるので、コラボすることで環境問題について世の中の関心が深まることを期待しています。クラブや選手との大豆ミート商品販売の実現や日常的な主食として広がるように、これからも取り組んでいきたいです」と力強く語り、髙本さんは「フライドオニオンや市販の人気スパイス、レンコンなどを隠し味に入れ、試行錯誤しながら豆臭さを極力消して、食感や味を整えるのが大変でした。大豆ミートがもっと美味しいと感じられるように改善していきたいと思います」と意気込んでいました。

大きな可能性を秘めた水戸ホーリーホック×茨城の小学生による大豆ミートを活用したSDGsの取り組み。その続報に是非ご注目下さい!

【写真 米村優子】

(米村優子)

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