デイリーホーリーホック

「ジュニア選手がアクティブチャレンジを実施!さつまいもの有機栽培を通じて環境問題やSDGsを学ぶ」【HHレポート】※無料記事

【写真 米村優子】

5月29日、城里町上古内にある国登録有形文化財「島家住宅」や付近の畑で、ジュニア選手が特別プログラム「アクティブチャレンジ」を実施し、さつまいもの苗植え、環境問題やSDGsについて学びました。

「サッカー“も”できる人間育成」を掲げている水戸ホーリーホックの下部組織。
小学生世代のジュニア選手は、昨年からサッカー以外にも積極的に挑戦する特別プログラム「アクティブチャレンジ」を始動しています。
阿字ヶ浦海岸でのビーチクリーン活動、デフサッカー(聴覚障がい者サッカー)やフットゴルフ、自己表現や伝える力を引き出すダンスなど、これまで4回のプログラムを実施。
様々なジャンルでの活動を通じて、サッカーだけでは得られない知識や経験を積み上げることで、豊かな人間性を育成することを目的としています。

【写真 米村優子】

その第5弾となる今回は、ホーリーホックの農業ブランド「GRASS ROOTS FARM」とコラボレーションし、城里町内の耕作放棄地を活用してさつまいもの有機栽培に取り組んでいます。
藤井航太ジュニア監督は「クラブで農業事業が始まりましたので、選手達に茨城ならではの経験をして貰おうと、特産品のさつまいもの栽培に挑戦することにしました。耕作放棄地を活かし、城里の人々と交流しながら地域に貢献すること、また、こだわりの有機栽培を通じて環境問題、SDGsを知るきっかけになればと考えています」と狙いを語ります。

【写真 米村優子】

晴天に恵まれた当日、小学3~6年生のジュニア選手32名とコーチ陣は、事前にクラブスタッフが下準備した約4アールの畑に、ねっとりとした食感と甘みが特徴のさつまいも「紅はるか」の苗600本を植える作業を行いました。
防虫、防草対策用の黒マルチに斜め45度に穴を開けて苗を植えると、食べやすいサイズのさつまいもが数多く実ることを説明された選手らは、穴開け班と苗植え班に役割分担をして苗植えをスタート。
チームメイト同士で談笑しながら、テキパキと作業を進めていましたが、途中でトラブルが発生。
マルチに開けた穴が小さすぎることが判明し、一つひとつの穴を指で広げる作業が追加される事態に。しかし、全員で手分けしてこなすと、あっという間に生育しやすいサイズの穴が完成。
保護者や近所の人々が見守る中、一株ずつにたっぷりと水を与えて、約1時間で苗植え作業は無事終了となりました。

【写真 米村優子】

そして6年生U-12の選手13名のみ「島家住宅」へ移動。
ホーリーホックが業務提携をしている有機肥料会社のBUIK(ビューイック)システム株式会社の専務取締役・近藤洋平さんと課長補佐の安田憲一郎さんを招き、選手らは「さつまいもを生育しながら環境問題を知ろう」と題した特別講座を受講しました。

【写真 米村優子】

土の柔らかい手触り、有機肥料の豊かな香り、用水路の水や鳥の鳴き声、里山の景色など、畑はサッカーに必要不可欠な五感が磨かれる場所。
農業とサッカーにそんな共通点があることを知った選手らは、世界で大きな転換期を迎えている農業の実態について学んでいきました。
「GRASS ROOTS FARM」では有機栽培にこだわった農業にチャレンジしていますが、実は日本の有機的農業の割合はたったの0.3%。
しかし、世界や日本が大量の化学肥料や大型機械を使用する工業的農業から、自然を上手く活かす有機的農業へシフトしつつある現状を説明されると、選手らは2つのグループに分かれて、工業的農業と有機的農業の良いところと悪いところをそれぞれピックアップする作業を実施。
活発に意見を交わした後、各グループの代表者が説明を加えながら発表し、それぞれの農業について理解を深めていきました。

【写真 米村優子】

そして、世界中で取り組まれている持続可能な開発目標「SDGs」に関して、日本は海や陸の豊かさを守る環境問題の項目にも課題があります。
そのため「GRASS ROOTS FARM」では、選手の昼食時などに出る食料残渣を活用し、BUIKシステムと連携して有機肥料化することで、食料廃棄ゼロや環境負荷の低い農業に取り組むことが紹介されました。
クラブのSDGsへの取り組みを知った選手らは、熱心にノートに書き記して理解を深めている様子でした。

【写真 米村優子】

近藤さんは「プロを目指すジュニアの選手にとって、食は重要な要素。大事な食を生み出す農業について、少しでも問題意識を持って欲しいと思っています。欧州では農業の教育が進んでいて、オーガニック市場も倍増しており、食に様々な選択肢があることが周知されつつあります。豊か過ぎて問題意識が薄い日本で、五感を研ぎ澄ましながら、世界の食や農業にも関心を向けて貰いたいと思います」と語っていました。
山根大知選手は「自分が植えたさつまいもが実るのが楽しみですし、自分が知らない所を起きている食や農業の問題を学ぶことが出来て良かったです。野菜はかなり苦手なのですが、苦労して作ってくれる人や環境のためにも、残さず食べるようにすることから始めようと思います」と話していました。
アクティブチャレンジでは、収穫までの間、畑の雑草刈りや水やりを数回実施する予定。
収量が多ければ、干し芋づくりに挑戦したり、スタジアムで販売する可能性もあるそうです。

【写真 米村優子】

城里町の小さな畑から世界や日本が直面する大きな課題を学んだジュニアの選手ら。
持続可能な循環型社会の一翼を担う選手へと成長を遂げてくれることでしょう。

【写真 米村優子】

(米村優子)

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