デイリーホーリーホック

「2021年トップチーム加入内定の水戸ユース・田辺陽太選手インタビュー」【育成NOW】※無料記事

【写真 米村優子】

Q.長崎戦のハーフタイムでサポーターに挨拶をしました。緊張しましたか?
「めちゃくちゃ緊張しました。足の震えが止まらなくて。普段、お店屋さんでも『すみません』も言えないタイプなんです。ある程度セリフを考えてきたのですが、最初噛んでしまったり、最後は一番伝えたかった所なのに忘れてしまったり…。あんな大舞台で話したのは初めてでした。いい経験になったなと思います」

Q.一番伝えたかった部分とは?
「トップ昇格になって、自分が一つ目標を達成できて、また新たなスタートラインに立つことができました。ホーリーホックの一員として認めてもらって、勝利に貢献できるような選手になり、僕自身、誰もが知っているような選手になるという夢を持って精一杯努力していきたいという所ですね」

Q.プレーの特徴、持ち味を教えて下さい。
「自分の一番の武器は、ビルドアップができるセンターバックの部分。相手のプレッシャーを外したり、いい位置で味方にボールをつけたりできるのが特徴だと思っています。利き足は左足です」

Q.水戸ユースを選んだ経緯とは?
「僕は千葉県浦安市出身で、父親がサッカーをしていて、いつから始めたとは分からないぐらいの頃からボールを蹴っていました。5歳の時に『マリーナF.C.』という地元のクラブに加入し、そのクラブは一個上がいい代で毎回県大会もベスト4とか行っていたのですが、自分たちは行っても県ベスト8ぐらいでした。マリーナは土日での活動しかなかったので、平日は『malva』でプレーしていて、フットサルが技術を身につけるきっかけになったと思っています。小学生時代は中盤の選手をやっていて、小学5、6年生から県トレセンに選ばれて、そこで初めてサイドバックとしてDFラインをやって、中学2、3年の頃にセンターバックとなりました。自分は小学生の頃からJクラブに入りたいと思っていて、レイソルやジェフ、養和とか受けたのですが、全部落ちてしまった。それで中学時代は東京Vの支部チームの『Wings』に拾って貰いました。『Wings』はみんな上手くて、強くて、全国大会にも行って、高校の進路も強豪チームやJクラブに行った。個性的なチームで刺激を貰えました。そこで色々な経験ができたのが大きかったと思います。めちゃくちゃ足の速いFWとかがいて、自分自身、試合に出られない時期もありましたね。でも彼らと一緒に練習していただけでも得られるものが大きかった。高校進学に際して、やはりJクラブでプレーした気持ちが高まりました。チームは進路を決める夏のクラブユースも全国大会に行ったけれども、そんな大事な時期に試合に出られませんでした。しかし『Wings』のコーチと吉岡さん(吉岡慎輔元GKコーチ)が繋がっていて、レイソルユースとの試合を見て貰えた。そうして水戸ユースに来られました。高校とJクラブの大きな違いは、高校はどんどんロングボールでバンバン蹴るけれども、Jクラブはしっかり繋ぐ所。水戸ユースはそのイメージとぴったりハマっていて、自分自身やっていて楽しいサッカーだなと感じて、水戸ユースに来ました」

Q.水戸ユースで一番成長した部分とは?
「自分は昔から攻撃が好きな選手で、攻撃のことばかり考えていて、中学から高校に上がって、攻撃のレベルが上がった。そして、水戸ユースではセンターバックとしてDFの部分が上がったと思っています。高校2年生ぐらいの時からトップチームに少しずつ関われるようになって、細川淳矢選手とかコーチングが上手いセンターバックを見て、一段回上のレベルに上った。色んな刺激を貰えて、また一つ上に上がれた気がします」

Q.目標にしている選手、憧れの選手はいますか?
「水戸ですと細川選手です。味方を動かして守備をするのがすごく上手で、自分もそういうセンターバックになりたいなと思っています。よく見るのはマンチェスター・シティのアイメリク・ラポルテ選手。ビルドアップがめちゃくちゃ上手くて、キックも正確で、ああいう選手になりたいと思って、よくプレー動画を観ています。プレミアリーグはやっているサッカーが面白くて、どこのチームが戦っていてもレベルが高いので、よく観ていますね。チームとしてはアーセナルが好きです」

Q.もうすぐ2種登録となります。2種登録の三國スティビアエブス選手が先発出場したように、秋葉忠宏監督はコンディションが良ければ積極的に若手も起用しています。今年中のJデビューも虎視眈々を狙っているのでは?
「水戸に来てからケーズデンキスタジアムでよく試合を観ていますが、自分もあそこに立てたらなと考えながらいつも観ています。秋葉監督は調子のいい選手や、前向きでどんどんチャレンジする選手を起用されています。自分は秋葉さんの言葉を借りると『ギラギラした』というのがあまり得意な方ではないのですが、監督の求めることを当たり前でやっていけて、それプラスで自分の色を出せたらチャンスがあるのかなと思っています。三國君は高校生の頃からすごく有名で、自分も知っていました。三國君が同じセンターバックとしてすぐに出場していたのはいいなと思っていましたし、自分も早くあの場に立ちたいなと思います」

Q.一つ上の先輩である水戸ユース出身の平田海斗選手は今季2試合出場しました。刺激になっているのでは?
「平田先輩はユースの頃から圧倒的な存在で、本当に誰が見ても一番目立っていた選手でした。そういう身近な憧れというか、すごいなと思っている人が出場しているのはとても嬉しいですし、身近だからこそ、自分も試合に出たいなと思っています」

Q.現在、トップチームのセンターバックのポジション争いは熾烈です。
「センターバックとしても勝負したいですが、自分のもう一つの特徴としてはサイドバックやボランチ、トップなど、色んなポジションができる所。そこで求められることは違うと思いますが、上手く適用できれば、どこのポジションでもチャンスがあるのかなと思っています」

Q.正式な加入は来年となります。それまでに伸ばしたい所とは?
「パワーやスピードの部分。パワーは今からでもつけられると思うので、しっかりトップのレベルに上げられるようにしたい。スピードはすぐには身につかないかもしれませんが、判断のスピードなどで補っていければいいなと思っています」

Q.ちなみに水戸の名物は納豆ですが、お好きですか?
「はい、大好きです。寮のご飯に毎食出てくるのですが、いつも食べています。普通に食べるのも好きですし、キムチやネギと一緒に食べるのも好きです」

Q.三國選手はスタジアムでの挨拶の際、スティッチ好きをアピールしていましたが、田辺選手も同じようにハマっているものはありますか?
「小学生の時からずっとドラゴンボールが好きです。親の影響でも何でもなく、アニメの再放送でも観たんでしょうね。ずっとカッコいいなと思っています。今もドラゴンボールの漫画を読んだり、カードゲームをやったりしています」

Q.8月29日から茨城県1部リーグがスタートします。意気込みをお願いします。
「自分は1年の時から試合に出させて貰った。最後の年なので3年間やってきた仲間と優勝の喜びを味わいたいという思いもありますし、そういう表現ができるのが、今年は県リーグとクラブユースしかありません。ユースの後輩に自分を目指して貰えるようなプレーをしたいです」

Q.最後に改めてサポーターへメッセージを。
「水戸ユースからまだ大きく成功している選手はいない。自分がその第一号になれるような勢いで、全力で練習や試合に取り組んでいきたいと思うので、応援をよろしくお願いします」

【写真 米村優子】

○樹森大介監督コメント

Q.監督から見た田辺選手の特徴とは?
「技術が高いDF。目立つようなプレーをするタイプではないのですが、ベテランのように落ち着いていて、対応力、順応力があり、どのレベルに入っても遜色なくやれる。国体に出場した時も中心的な存在でした。1年の時から彼を起用していますが、自分の良さを発揮しながら、上手くやる能力が高いと感じています」

Q.正式加入までにどのような部分を伸ばしたいと考えていますか?
「まずは気持ちの部分。まだムラがあるので、そこを改善したい。あとはDFとしてのパワーの部分。フィジカル的に劣る部分がありますが、それは彼の意識が変われば大きく成長するポイントの一つだと考えています。そういった所を一方的ではなくて、彼と一緒にやっていければ伸びるのかなと思っています」

Q.トップチームのセンターバックは、ポジション争いがヒートアップしています。
「うちのセンターバックはハーフじゃないと出られないのかな(笑)。田辺の場合はセンターバック以外のサイドバック、ボランチなどマルチにできる器用な選手です。自分の与えられたポジションを一つひとつこなすことで大きく成長できる可能性があると思います」

【写真 米村優子】

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