春の嵐とスコアレス……2025-J1第10節・新潟戦(A) マッチレビュー
▼2025明治安田生命J1リーグ 第10節
4月13日(日) 14:03キックオフ/デンカビッグスワンスタジアム(19,527人)
アルビレックス新潟 0-0 横浜FC(Jリーグ公式サイト)
新潟はちょうど桜が満開で、晴れていればまさに花見日和。しかし午前中から小雨がパラつき、試合開始前には薄陽が差したものの試合中はずっと強くはないが雨模様。雨はともかく、冷たい風はほぼ暴風といってよく、試合を通じて横浜FCを苦しめた。
一種の春の嵐だろうか、暴風は同県内の新発田市で予定されていたももいろクローバーZの野外イベントが中止になるほどで、試合前練習をゴール裏最後列から見ていたときも、吹き込んでくる風で体が飛ばされそうに感じるほどだった。ただメイン上層の記者席ではだいぶマイルドに感じ、ピッチで写真を撮っていたカメラマン氏に聞くと「前半は向かい風、後半は追い風だったと思うけど、不安定というか舞っていたんじゃないかと思う」とのことだった。
その点、山田康太は「風はすごく強かった」とは言いながら風向きについてはあまりピンと来ていないようで、「自分たちのスタイル、相手のスタイル含めて、風がどうこうで内容が変わるような試合ではなかった」と続けた。確かに前半に向かい風に苦しんだ前節・清水戦と違うのは、新潟は風を利用して攻め込むようなサッカーをしてこなかった。彼らが自信を持つ、足元で細かいパスをつなぐサッカーは、風の影響をそれほど受けないし、雨まじりであればピッチも濡れてパススピードも上がる。
ただ横浜FCにとってこの風は非常に厄介で、向かい風にしても追い風にしても、ロングレンジのパスのほとんどは出し手の思うような軌道を描いてくれなかった。縦でも横でも、大きく蹴れば相手ボールになってしまう確率が高く、結果、山田が言うように横浜FCも足元でつなぐサッカーをやらざるを得ない。そこでチームが積み上げてきたものの差が大きく出ることになった。
【選手交代】(横浜FCのみ)
63′ 準弥→山根、武蔵→駒沢
73′ 山田→新井、ルキアン→ソロモン
79′ 駒井→小倉
▼巧みな新潟のビルドアップと崩し
横浜FCは前節・清水戦で負傷交代した山根永遠をベンチスタートとし、鈴木準弥が第5節以来5試合ぶりにリーグ戦先発を果たした。4分、その準弥が右サイドライン際で鈴木武蔵を走らせて押し込むと、CKからゴール前の混戦でこぼれ球を山田康太がボレーシュート。しかしボールの下を叩いてしまい、シュートはクロスバーを大きく越えた。さらに10分には伊藤槙人が背後を狙ったボールにルキアンが反応し、獲得したスローインから準弥がロングスロー。そこからの混戦でルキアンのボレーシュートは相手にブロックされた。
悪くないスタートだったが、試合が落ち着いてくると流れは新潟に傾いていった。新潟に対して準備してきたはずの、前からのプレスがハマらない。結論としては「相手が上手かった」(準弥)ということになるが、前からプレッシャーをかけても新潟は自信を持ってボールをつなぎ、流動的に動いてズレを作りながら、ライン間に立つ前線の選手に縦パスや斜めのクサビのパスを入れてくる。その横か後ろに必ずサポートがあり、ワンタッチで正確に落としてそこからサイドへ展開してスピードアップされ、横浜FCは守備ブロックを下げて対応に追われる場面が続いた。
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