【無料記事】U-18プレミアリーグ2024 EAST 最終節・大宮U18戦 マッチレポート
▼高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ2024 EAST 最終節
12月8日(日) 13:01キックオフ/NACK5スタジアム大宮(200人)
大宮アルディージャU18 0-1 横浜FCユース(JFA公式サイト)
【得点】
17′ 横浜FC/中台翔太
試合前の時点で3チームが勝点38で並んでおり、首位は柏レイソルU-18で得失点差+13。2位の横浜FCユースは得失点差+8、3位の鹿島アントラーズユースは得失点差+6。初のプレミアEAST制覇を狙う横浜FCユースにとっては、「とにかく大量得点で勝たなければいけない」(岩崎亮佑)状況だった。
相手の大宮U18は最下位で、すでに来季のプリンスリーグ降格が決定。後期のリーグ戦は未勝利(2勝8敗)で、前節は4位の流通経済大学付属柏高校に0-6で敗れている。大量得点での勝利は決して不可能なミッションではなかった。しかし和田拓三監督は選手たちに「どんどんゴールを取りに行け」ではなく、「しっかり1点ずつ取りに行こう」と伝えていた。
(写真提供/横浜FC、取材/青木ひかる、文/芥川和久)
【選手交代】(横浜FCユースのみ)
39’ 齋藤→芝草
86’ 朝見→笹
▼我慢の戦い。ワンチャンスで先制
夏にトップチームとプロ契約した前田勘太朗を負傷で欠く横浜FCユースは、前節、前々節と同様に1年生の齋藤翔が庄司啓太郎と2トップを組んだ。
キックオフから序盤は、スタメンに3年生の登録選手全員(怪我人を除く)を並べた大宮U18がホームで意地を見せる。横浜FCユースのプレッシャーをはがして攻め込み、守備では高い位置でボールを奪い返してゴールに迫った。
しかし横浜FCユースは守護神・大亀司が「苦しい時間も『耐える』ことができるのが僕たち本来の強み」と胸を張るように我慢強く対応。試合を通じて大宮に3本しかシュートを許さなかった。
今季の横浜FCユースは1試合平均得点『1.5』と決して攻撃的なチームではなく、1試合平均失点『1.0』の堅い守備をベースに粘り強く勝点を重ねてきた。もちろん優勝のために大量得点が必要な状況ではあったが、和田拓三監督は「そこを意識しすぎると自分たちのサッカーができなくなってしまう」と考えていた。
それゆえの「どんどんゴールを取りに行け」ではなく「しっかり1点ずつ取りに行こう」という指示だった。もちろん攻撃的な選手は「(多くの)点を取って勝つことがノルマだったので、点をいっぱい取りたい」(庄司啓太郎)とは思っていたが、「まずは勝たないと、本当に意味がない。失点しないように全員で球際を意識して、絶対に自分たちのチャンスは訪れるので、それをしっかり見つけられるように我慢強くプレーした」とキャプテンの小漉康太は言う。
17分、そのチャンスが訪れる。ボールを握って攻め込んだ大宮U18がいったん最終ラインにボールを戻し、CBがサイドチェンジを試みるが、これを中台翔太がインターセプト。中台からボールを受けた庄司がドリブルで持ち上がり、ラストパスを送ると、中台が先制シュートを突き刺した。
ワンチャンスで先制した横浜FCユースは、この1点で勢いを取り戻し、直後にもショートカウンターから庄司がミドルシュートを放つなどペースを握った。状況からすればこの時間帯で、前半のうちに2点目、3点目とたたみかけたいところだったが、押し込みながらも追加点を奪えなかったばかりか、35分にはペナルティエリア内で相手選手と交錯した齋藤が負傷交代になってしまう。ただ、ちょうどそのころ柏U-18が川崎U-18に先制されており、その情報は当然ベンチには入っていたはずだ。
もう一つ他会場では鹿島ユースが尚志高校に先制して前半を終えていた。後半、和田監督は選手たちに「守りに入るのではなくて、もっと点を決めて無失点でいたら優勝だぞ」と伝える一方で、攻撃に焦りを感じていそうな選手にはスタッフから適宜「このままで」と言葉がかけられていた。