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【無料記事】終わり良ければ……第104回天皇杯2回戦・八戸戦 マッチレビュー

 

▼天皇杯JFA第104回全日本サッカー選手権大会2回戦

6月12日(水) 19:00キックオフ/ニッパツ三ツ沢球技場( 1,287人)

横浜FC 2-1 ヴァンラーレ八戸(Jリーグ公式サイト

【得点】
58′ 横浜FC/三田啓貴
88′ 八戸/妹尾直哉
109′ 横浜FC/室井彗佑

 

前半は一進一退。横浜FCは1トップに入った櫻川ソロモンの足元にボールを入れ、起点を作って押し込んでいくが、そこからなかなかシュートまで持ち込めない。前半からシュート数はそれなりに多かったが、橋本丈のCKまたはその流れから生まれたもの、あるいはブロックの外からのミドルシュートが多かった。

八戸も序盤を過ぎてカウンターからチャンスを作ると動きが良くなり、チームにとっておそらく最大の狙いだった前線からのプレスも効き始める。30分、拓海のボールロストから安藤由翔の強烈なミドルシュートが枠をとらえたが、永井堅梧のファインセーブでCKに逃れた。ざっくり言えば10分までは横浜FC、10〜20分までは八戸、20〜35分までは横浜FC、35〜45分までは八戸のペースという流れで、前半終了時には横浜FCゴール裏から奮起を促すブーイングが起きた。

後半、58分に横浜FCは高い位置でボールを奪うと右サイドに展開し、中村拓海のマイナスの折り返しから三田啓貴がミドルシュートを八戸ゴールに突き刺した。八戸はすぐにオリオラ・サンデーとスーパーサブの妹尾直哉を投入。前への推進力、勢いが出てきた八戸だがミスが多く、シュートに結びつけられないまま終了と思われたが、88分に強引に縦へつなぎ、反転した妹尾のミドルシュートで同点に追いついた。

延長に入ると、疲れの見える八戸を横浜FCがボールを握って押し込む。ラストパスやシュートの精度を欠いてなかなかゴールが生まれなかったが、109分、ペナルティエリア手前で縦パスを受けた髙橋利樹の落としを室井彗佑がパワフルにぶち込んで勝ち越し。終了直前に抜け出したサンデーが飛び出した永井と入れ違うシュートを流し込もうとするが、わずかに枠外に逸れ、苦戦しながらも横浜FCが3開戦に駒を進めた。

 

【選手交代】(横浜FCのみ)
45′ ボニ→岩武
71′ 橋本丈→中野、慶治朗→室井、ソロモン→髙橋
77′ 三田→松下
100′ 小倉→庄司啓太郎

 

 

▼終わり良ければ

J3リーグ戦から中2日の八戸はターンオーバーをGKと2トップだけにとどめた。ルヴァンカップ2回戦では同様にベストメンバーに近い形で鹿島に挑み、延長にもつれ込む善戦を演じている。そこからリーグ戦6試合負けなしと調子を上げたこともあり、この試合でも本気でジャイアントキリングを狙うことで17位に沈むリーグ戦への起爆剤にしたいという思惑があったはずだ。

横浜FCはJ2リーグ第19節・徳島戦から中3日だが、逆に次のリーグ戦が中2日で控えている。本来なら完全ターンオーバーにしたかったところだが、徳島戦を欠場したガブリエウのコンディション不良でCBの頭数が足りず、ンドカ・ボニフェイスが先発して後半からは岩武克弥が出場した。また負傷あるいはコンディション不良の多いシャドーのポジションには、ボランチが本職の三田啓貴が入った。

右のシャドーはリーグ戦ではカプリーニのポジションだが、パサーとドリブラーの違いはあっても常にゴールに向かう気持ちを露わにして決定的なプレーを選択したがる点で、最もカプリーニに似ているのは三田だろう。「どこで出ても自分の存在意義を四方田監督に示さないといけない」と覚悟をもって臨んだクラッキの一撃がチームを勝利に近づけた。

試合全体としては、やはり上位カテゴリーが下位カテゴリーを迎える天皇杯の初戦は難しいという範囲の中での苦戦だった。昨季の2回戦でもJ3の岩手を相手に最終的には1-4と大差はついたが、先制され、68分に逆転するまではどちらに転ぶか分からなかった。下位カテゴリーは「善戦するだけでも自信になる」と勢いがあるのに対し、そもそも上位カテゴリーのチームはリーグ戦でいつも戦っているメンバーで臨むわけではなく、どうしても受けてしまいがちになってしまう。そこは試合前日に四方田修平監督も戒めてはいたが、「やはり相手の勢いの良さに、自分たちのスピード感や技術をもっと上げていかないといけないという課題を感じた」と振り返った。

ベテランの和田拓也はやはり慣れたもので、「相手が強度高くきた中で、延長戦までもつれたとか過程の話はともかく、今日は勝ったのですべて良しでいいと思います」と飄々としていた。選手個々のアピールはともかく、最も大事なのは下位カテゴリーに負けてチームの士気を落とさないことであり、今日の選手たちはリーグ戦の良い流れをしっかり週末につないでくれた。

 

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