二兎も三兎も追う……ルヴァンカップ1stラウンド2回戦・岡山戦(A)プレビュー
▼もはや“若手の登竜門”ではない!?
いよいよ横浜FCにとって今季のJリーグYBCルヴァンカップが始まる。横浜FCはこの1stラウンド2回戦からの登場となるが、まずは今年から大会方式が大きく変わったことをおさらいしておこう。
2001年まではJ1クラブとJ2クラブが参加して行われていたルヴァンカップ(旧名:ナビスコカップ)だが、02年からはJ1クラブのみの大会となり、“(J1の)若手の登竜門”として位置付けられていく。総当たりのグループステージがあり、そこを勝ち抜くと決勝トーナメントに進むが、グループステージの試合数はそれなりに多く、若手に公式戦出場のチャンスを与えるのにもってこいの大会だった。
おそらく02年時点では、J2はそもそも“若手が中心のリーグ”であって、わざわざ“若手の登竜門”に加える必要がなかったのかもしれない。しかし時は流れ、一昨年の横浜FCでも杉田隼と西山大雅(現栃木シティFC)が一度もリーグ戦に出られなかったように、今やJ2も若手がなかなか試合に出られないリーグになった。18年からは前年にJ2に降格したうちの上位2クラブも参加することになったが、J2中位以下のクラブにとって縁の薄い大会であったことに変わりはなく、岐阜でプロ入りし5年間を過ごした村田透馬は「そういう大会があるのはすごく羨ましいなと思っていた」という。
さて具体的な大会方式の変更点としては、まずJ2、J3にも門戸を広げたことだ。しかし、グループステージはなくなり、初戦から一発勝負のトーナメントとなった。さらに昨年度まではあった、“21歳以下の選手を一人は必ず先発出場させなければいけない”というルールも実施されない。
そのぶんの補填になるのかは不明だが、ベンチ入りは最大9人まで。リーグ戦同様に交代は5人まで(延長に入れば6人まで)で、外国籍選手の出場は5人まで認められる。3回戦まで勝ち抜けば、プレーオフステージに進む。細かい点は実際に横浜FCが勝ち進めば解説するが、要するにここからは準決勝までホーム&アウェイのノックアウト方式になる。
以上が新しいルヴァンカップの概要となるが、今までこの大会に縁の薄かったJ2中位以下、J3のチームにとっては“ゼロが1になった”と歓迎するところだろう。しかしJ1チームやエレベータークラブからすれば、四方田修平監督が語ったように「去年までは6試合はやれて、いろんな選手にチャンスを与えられたが、それが減ってしまうことは残念、もったいない」という感覚となる。
負ければ1試合で終わりである。試合数を確保するには勝たなければならないが、そうなると若手にチャンスを与えることに躊躇するクラブもあるだろう。しかも天皇杯の初戦と違って相手がアマチュアなんてことはない。個人的には若手起用義務を堅持してほしかったが、要するに若手の育成はクラブの取り組みに委ねられているのだろう。だから横浜FCは昼田宗昭前GMが神奈川エリートリーグの実現に動いていたし(ほかのクラブが乗り気でなかったため頓挫したようだが)、現在もマルチクラブオーナーシップに取り組んでいるわけだが、それはまた別のお話。
▼戦力の底上げを優先しつつも……
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