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【無料記事】“プロのしるし”を見せてくれ!……2023シーズンJ1最終節・鹿島戦(A)プレビュー

 

▼ハイプレスは断固回避

鹿島は前節、川崎に0-3で敗れている。ここ6試合は3分3敗で勝星なく、3得点しか奪えず9失点しており、チームとして明らかに元気がない。0.001%の可能性が0.002%になる程度かもしれないが、前節の湘南のように絶好調の相手よりはマシだろう。

前回対戦では鹿島の前線からの激しいプレスでビルドアップできず、高い位置でボールを奪われまくったことが最大の敗因だ。あの試合のボール奪取位置のデータを見ると、ディフェンシブサードで何と25%もボールを失い、ロストした平均ラインは相手のゴールラインから48.9メートルという非常に低い位置となっていた(普通は高くて30メートル〜低くても40メートル程度の間に収まる)。

まずはそのハイプレスに絶対に食われないことだ。できれば鳥栖戦のように、食いつかせて裏を狙いたいところだが、鹿島の場合は前線の選手が二度追い、三度追いとしつこく追ってくるが、最終ラインはロングボールで裏を取られることを警戒してそれほど高く上げてはこない。多少間延びしても個人能力で守れる。そういう選手を集められるチームだ。

ただ間延びが生じるぶん、川崎やマリノスといった上手いチーム相手には守備網の穴を突かれてシーズンダブルを食らっている。かといって横浜FCが後ろからボールをつないで穴を突いていこうとしても、前回対戦の二の舞になるのがオチだ。プレスを回避してロングボールを蹴り、セカンドボール争いに活路を見出すのが賢明だろう。

また前回対戦では鈴木優磨へのロングボール攻撃に苦しめられた。単純に蹴り込んでくるのではなく、鈴木の動き出しに合わせて蹴られて起点を作られた。その辺も、出し手と受け手の個人能力が高いために単純な攻撃でもチャンスになる。しかし前回対戦時の横浜FCは4バックだったが、今回はCBが3人で5バックで待ち構えられる。何とかはね返してセカンドボールを拾いたい。

 

▲予想スタメン。ユーリ・ララが出場停止で、代役は普通に考えれば三田だが、互いにロングボールが飛び交う試合になるとすれば、マテウス・モラエスを左CBに入れて、吉野恭平を一列上げて本職のボランチに戻すことも考えられる。その他、激しい守備ができるボランチ経験者として武田英二郎、バランサーで故障明けの和田拓也。攻撃に振り切るなら、練習ではボランチに入ることも多い高井和馬やグエン・コン・フオンの抜擢も考えられるし、ボランチを1枚削って前線の人数を増やす、さらには序盤以来の4バックに戻す手もあるが、四方田監督の決断やいかに?

 

▼最強のブービーメイカーに

つまり、攻守においてセカンドボール、球際の争いが鍵を握ることになる。戦法的に大量得点を望みにくいのが難点だが、まずは勝たなければ始まらない。勝つことに100%注力し、できれば1点でも多く挙げて、その上で奇跡を待つ。それだけが今の横浜FCにできる戦いだ。

前節終了後のホーム最終戦セレモニーにおいて、サポーターたちはブーイングではなく拍手とチャントを選手たちに送った。そのことは「鹿島戦、みんなで戦おうぜという意味だと思う」(四方田監督)、「サポーターを本当に尊敬してます。ラストの試合は恩返ししたいとみんな思ってる」(スベンド・ブローダーセン)と、チームの一人一人の心に強く響いた。

サポーターの思いに応えるためにも、「最後まで諦めず、得失点差も含めてひっくり返すために、やれることはすべてやるという姿勢と戦いを鹿島戦で見せる」(四方田監督)ことは責務と言える。実際に残留できるかどうかではない。この1年の集大成として、最後まで諦めずに戦う姿勢を、そのプロのしるしをサポーターに見せられるかが問われている。

来季からJ1は20チーム制となる。2005シーズンに18チーム制となって以来、最も勝点を獲得したのは19シーズン磐田の『31』。勝てば、たとえ降格したとしても横浜FCは18チーム制時代において最強の最下位となる。決して名誉ある記録とは言えないが、J1の歴史に爪痕を残すことはできるのだ。プロとしての維持とプライドを賭け、この最終節に挑む。

(文/芥川和久)

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