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【無料記事】未来を拓け!……ルヴァンカップ・グループステージ第5節・広島戦(H)プレビュー

 

▼予想は横浜FC1.8軍vs広島1.1軍

今回はホームでのルヴァンカップ。横浜FCはすでにグループステージ敗退が確定しているが、広島はここで勝てば、最終的にグループ2位に終わってもプライムステージ進出がほぼ決定する。広島は週末のリーグ戦第15節が土曜開催になるため大幅なターンオーバーも予想されたが、ミヒャエル・スキッベ監督は基本的にメンバーを固定して戦うジャーマン・スタイルだけに、まずは確実に突破を決めることを優先して最小限の入れ替えにとどめる模様だ。

横浜FCにとっては、今季2度の対戦時とは違うことを見せたいところ。公式戦未勝利のまま4月を終え、J1リーグ戦でもルヴァンカップ・グループCでも最下位に沈んでいたが、5月に入ってシステムを3バックに変更すると、リーグ戦4試合で3勝1敗と立て直しに成功。守備時はウイングバックが最終ラインに入る5バックでしっかりと守りを固めて、前線のスピードを生かしたカウンターで得点を狙う戦い方がチームに浸透してきている。

先週末に行われた直近のリーグ戦(第14節)では、昨季2位の川崎に2-1で勝利して今季初の連勝を飾った。しかも川崎戦では小川 航基とユーリ・ララが出場停止だったことに加え、サウロ・ミネイロやンドカ・ボニフェイスらも怪我や病気によりメンバー入りしなかった。この広島戦は中3日の3連戦の中日とあって、彼らも含めて大幅にターンオーバーして挑むのではと予想する。

3バックへの変更と戦い方の変化によって、カプリーニや新井瑞希ら得意なポジションが消滅したりプレースタイルが合わなくなったりで出番を失っていった選手がいれば、武田英二郎やヴァンイヤーデン・ショーン、高井和馬らのようにより希望を見出せるようになった選手もいる。どちらの選手たちにとってもこのルヴァンカップ広島戦は貴重なアピールのチャンスであり、モチベーション高く試合に臨むはずだ。

▲予想スタメン。ルヴァンカップでは初の3バックとなる。橋本健人が累積警告で出場停止。CBの枚数が増えたことでヴァンイヤーデン・ショーンの公式戦初出場を予想。中村拓海が間に合えば右CBか右ウイングバックに入るだろう。左シャドーは新井とカプリーニの争いになるか?

 

 

▼求めるのは結果よりも内容

注目したいのは二人、ショーンと高井だ。

ショーンは4人いるU-21選手の中で、一人だけいまだルヴァンカップ含め公式戦でベンチ入りも果たしていない。193cmの体格とポテンシャルを評価されU-20日本代表候補合宿にも参加したものの、現在開催中のU-20W杯に選ばれず悔しい思いをした。チームが3バックに変更してCBの枠が一つ増えただけに、本人もここでアピールしたいところだし、チームからも期待されているだろう。

そして川崎戦で後半アディショナルタイムから出場した高井。リーグ戦のベンチ入りは今季初で、プロ7年目にして初のJ1出場だった。J2で述べ5チームを渡り歩き、シーズンごとの浮き沈みは激しいが天才肌のプレーで通算47ゴールを挙げてきた前線の王様が、ようやくチャンスの扉に手をかけた。彼のクイックネスとアイディア、技術は、カウンター攻撃頼みのチームが陥りがちな得点力不足を防ぐアクセントとなり得る。

ただ試合としては、現在2連敗中とはいえ優勝争いしているチームのほぼ主力を相手にするわけだから、苦戦は必至だ。広島はボールもつなぐがロングボールも積極的に使って押し込んでくるため、神戸戦や柏戦と同様に戦術的な相性も悪い。縦に速い攻撃と相手陣内でのハイプレスが強烈で、その強さは今季2度の対戦でも味わってきた。

ここまでルヴァンカップは4戦4敗だけに、全敗で大会を終えるのは避けてほしい気持ちはある。しかしシステムと戦い方を変えて1カ月にもならないチームに、しかも大幅ターンオーバーした上で、昨季リーグ3位さらにルヴァンカップを制したスタイルを発展熟成している広島のほぼ主力相手に必ず勝てというのは無理がありすぎる。もともと横浜FCにとってルヴァンカップの位置付けはタイトル獲得ではなく、「試合出場機会の少ない選手に経験を積ませ、チームの底上げを図る」(四方田監督)ための場だ。だから求めるのは結果よりも内容である。

出場機会を得られていない選手たちがこのチャンスに、いかにシステム変更以来4戦3勝したリーグ戦のようにチームとして戦えるか。その上で、彼ら一人一人の特徴をしっかり発揮してほしい。高井だけでなく、誰もが今後チームが必要とする何かを持っているはず。この広島戦で自身の価値を証明し、未来を拓け。

(文/芥川和久)

 

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