HAMABLUE PRESS

【無料記事】待ち人来らず……ルヴァンカップ・グループステージ第1節・広島戦(A)マッチレビュー

 

▼2023JリーグYBCルヴァンカップ/Cグループ第1節

3月8日(土) 19:03キックオフ/エディオンスタジアム広島(5,249人)
サンフレッチェ広島 3-1 横浜FC

【得点】
59′ 横浜FC/カプリーニ
75′ 広島/満田誠
80′ 広島/佐々木翔
88′ 広島/オウンゴール

 

ともにリーグ戦では未勝利同士で、スタメンを完全ターンオーバーした。前半は互角の展開。12分に吉野恭平のロングパスからマルセロ・ヒアンが裏へ抜け出してシュートを放ち、30分には新井瑞希のクロスからこぼれ球を吉野がスルーパス。小川慶治朗のシュートはGKに弾かれたが、そのCKの流れからカプリーニのクロスに杉田隼がバー直撃のシュートを放った。もちろんピンチもあり、前半終了間際に吉野がエゼキエウにペナルティエリアで足をかけてファウルの判定。しかしそのPKを市川暉記が見事にストップし、スコアレスで前半を終えた。

後半の入りは横浜FCがボールを握って押し込み、59分に杉田のフィードから抜け出した慶治朗がゴール前に折り返すと、GKが弾いたボールをカプリーニが蹴り込んで先制した。しかし61分に広島が満田誠と川村拓夢を投入。横浜FCも63分に3枚替えを行い、さらに69分にカプリーニが交代すると流れが一変。75分に市川のクロス処理が中途半端になり、こぼれ球をつながれ満田のシュートで追いつかれた。さらに80分、CKから途中出場の佐々木翔に逆転ゴールを決められると、88分にはロングボールからマテウス・モラエスが裏を取られ、クロスに対して戻りながら必死に足を出した杉田のオウンゴールに。結果は1-3で、今季公式戦初勝利はならなかった。

 

【選手交代】(横浜FCのみ)
63′ 武田→マテウス、慶治朗→高井、マルセロ→伊藤翔
69′ カプリーニ→高塩
83′ 吉野→清水

 

▼守備の救世主は現れず

ともに完全ターンオーバーだったが、ベンチメンバーには大きな違いがあった。広島は満田、川村、佐々木、ナッシム・ベン・カリファと攻守にリーグ戦の主力メンバーを入れていたが、横浜FCは伊藤翔が2試合で途中から計14分間出場しているのみで、ほかは全員が今季初のベンチ入りだった。60分過ぎから互いの選手交代で流れが一変したのは当然とも言える。

広島はルヴァンカップ前年度王者で、横浜FCはJ2の2位で昇格したチーム。広島にとってルヴァンカップは“狙うべきタイトル”だが、横浜FCにとってはいわば“リーグ戦のためのオーディション”だった。そうしたこの試合に対する温度差が勝敗を分けた。勝ちにこだわるなら、そもそも63分の3枚替えはしていなかっただろう。

勝敗はそれほど大きな問題ではないが、相手も控え組だったことを考えれば、60分までの内容はもっと圧倒してもらいたかったというのが正直なところ。シュート数で見ると前半は3対9、後半は4対8で、決定機の数は互角でもピンチとチャンスの数ではピンチの方が多かった。相手の主力が出てくるまでは互角でも、主力が出てきたら圧倒されたというのではちょっと寂しい。

特にガブリエウが負傷し長期離脱のチーム状況で、とにかく守備の救世主出現が望まれる試合だったが、相手の主力が出てきた途端に3失点ではその面の収穫は何もなかったということになってしまう。CKの守備も、広島で最もヘディングの強い佐々木翔のマーク役がなぜ高塩隼生だったのか。リーグ開幕の名古屋戦でも、キャスパー・ユンカーについていたのは中村拓海だった。ここもリーグ戦での課題になっていくだろう。

 

次のページ

1 2
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ