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【無料記事】想定外の攻城戦。圧倒するも金鯱城を崩せず……2023シーズン開幕節・名古屋戦マッチレビュー

 

▼圧倒するもゴールネットは揺らせず

79分、横浜FCはさらに橋本健人とマルセロ・ヒアンを投入。マルセロがトップに、航基がやや引き気味にポジションを取った。ゴールにこそ結びつかなかったが、橋本の攻撃の才能は素晴らしかった。鋭いクロスを入れ、自ら切り込むだけでなく、パスとフリーランで山下も生かした。スタートから見たいと思わせたが、守備面はどうなのか気になるところだ。

残り5分を切ってからは名古屋をペナルティエリアに釘付けにした。ボールを失ってもすぐに奪い返し、カウンターも打たせなかった。それだけ攻め込んでも、いや、それだけ攻め込んで相手をペナルティエリア内に充満させてしまったからこそかもしれないが、ゴールどころか決定機も遠かった。この試合最大の決定機は90+1分、山下のペナルティエリア内からのクロスにゴール前で航基が頭を合わせた場面。しかし、惜しくも枠に飛ばせなかった。アディショナルタイムにはガブリエウが前線に上がり、CKでは永井堅梧も攻撃に参加する執念を見せたが、ゴールネットを揺らせないまま終了の笛を聞いた。

 

▼答合わせは次節・湘南戦

本来はJ1の中でも特別な個の力を持つチームに対し、キャンプから積み上げてきたものがどこまで通用するかを測る試合だったはずだった。しかし開始早々の失点で、そこが曖昧になってしまった。野戦で雌雄を決するつもりが、始まってみたら敵が城に篭って予定外の攻城戦になってしまったようなもの。しかも相手は昨季J1リーグ最少失点を誇る、天下の堅城だ。

相手が籠城してくれたおかげで、ボールを持って長い時間攻撃することはできた。ただ、本気で相手がハイプレスに来たときにボールがつなげるのか。また、名古屋がリスクを避けてロングボールを多用してもOKな状況にしてしまったため、本当にそれだけ強度の高いハイプレスをかけられていたのかも曖昧になった。

名古屋を圧倒した試合終盤の熱気と、選手が「やりたいことは出せていた」(三田)と口々に語った手応えが本物であることは間違いないだろう。しかし、答合わせはまだできていない。次節は今季の横浜FCが目指すスタイルに近い鳥栖を5-1で粉砕した湘南が相手。この神奈川ダービーで手応えを自信に変えて、今季の真のスタートとしたい。

(文/芥川和久)

 

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