HAMABLUE PRESS

【新シーズンスタート直前!】「FとM以上のエンターテイメントを作っていきたい」……昼田宗昭ゼネラルマネージャー・インタビュー 前編

 

ハマプレ読者の皆さん、お待たせいたしました。昨年11月に行われた昼田宗昭GMのロングインタビューをお送りします。昼田GMは公に取材をあまり受けたがらない方ですが、横浜FCサポーターのためのメディアであるハマプレならと、シーズンが終わってようやく取材の機会をいただけました。昼田GMが編成に飛び回っておられて多忙だったこともあってクラブチェックに時間がかかり、年も明けて新体制発表直前のタイミングになってしまいましたが、まずは皆さんに読んでいただけることを喜びたいと思います。

GM就任から昨季のチーム編成、昨季の振り返り、クラブ全体の動きからJ1で戦う今季の編成、残留へのビジョンまで、率直なところをお話しいただきました。あまりに率直なところが多かったことが、クラブチェックから戻ってくるのが遅くなった一因でもあると思われ、削除された部分、旧聞になってしまった部分も多くなりましたが、一番のテーマは昼田GMの考え方を知ることですから、そこは十分に役目を果たしていると思います。

インタビューが行われたのが昨年11月ですから、『今年』とか『今季』は2022年を、『来年』『来季』は2023年を指します。人事に関して動いたところは適宜注釈を入れています。また、今季2023シーズンの編成に関しては、新体制発表とともにキャンプ期間中に改めて取材予定です。まずは昼田GMが初めて明かす横浜FCのビジョンを、皆さんにも共有していただければ幸いです。

(インタビュー、文/芥川和久。実施日/11月16日)

 

▼DクラスをAクラスにするために

――まず前職について聞かせてください。2018年に横浜F・マリノスのスタッフとなり、19年から21年までアシスタントスポーティングダイレクターを務めておられました。聞き慣れない役職ではありますので、あらためて、どういった仕事をされていたのか教えていただけますか?

「僕の経歴を見てもらえば分かるけど、ずっと強化部長をやってきました。マリノスではそれがアシスタントスポーティングダイレクターという名前だっただけ。今はゼネラルマネージャーだけど、それは横浜FCの組織での呼び名なのと同じことですよ。スポーティングダイレクターとして小倉勉さん(現東京Vヘッドコーチ)がいましたが、彼はずっとコーチ畑の人だから、強化はやったことがなかった。だから今の仕事とほぼ一緒ですよ」

 

――つまりは強化のトップということですね?

「はい。対外的にも対内的にもそういうことです。私は父親が亡くなった時に一度サッカー界から引退したんですけど、マリノスさんから『どうしても優勝したいから就任してくれ』という話で。もともとはスカウトで入りましたが、組織として改革があったんですね。本当は『スポーティングダイレクターで』という要請があったけど、『ちょっと私はできない。そもそもの約束と違います』というところで、アシスタントになった。表向きは小倉勉さんをサポートしていますということだったけど、まあサッカー界の誰もがアシスタントだとは思ってなかったんじゃないかな(笑)」

2001〜09年まで千葉、10〜13年まで東京ヴェルディ、16年に広島でアドバイザー職を経て、18〜21年まで横浜F・マリノスでそれぞれ強化のトップを務めてきた

 

――マリノスで2019年にJ1リーグ優勝。21年は準優勝しました。横浜FCに移ることになった経緯は?

「たまたま、ワクチン接種の時にマリノスと横浜FCが一緒になったんですよ。マリノスではワクチン接種をチーム統括本部が仕切っていたので、私が(ワクチン)接種に関して、メールのやり取りから全部仕切っている姿を上尾さん(上尾和大/前横浜FC代表取締役社長COO)が見られていて。それで上尾さんからご連絡をいただいて、来季のGMに就任依頼がありました。確か21年の10月中旬だったと思います。もともと僕は優勝させてくれと頼まれてマリノスに入って、2年で優勝させたし、コロナの初年度の2020年は9位でしたけど、21年も優勝争いをしていた。どこかで、『自分の役割はフレームを作って次に引き継いでいったほうがいいな』と思っていて、それで21年の7月末には、側近の強化スタッフには辞めるという話をしていました。2025年までのマリノスのプランはすべて描いて出て来たので、今年優勝したのもある程度はロードマップ通りではあります。まあ本音は、去年優勝してこちらに来たかったですけど(笑)」

 

――21年は横浜FCがJ1から降格したシーズンです。降格しそうなチームからのオファーを受けた理由は?

「上尾さんに『横浜FCをどうしたいですか?』と聞いたら、『2026年には優勝したい』という話があって、それは非常に興味をそそりました。今現在、残留争いしているチームから、そういう話が出るということが。だから横浜FCが残留しようがJ2に降格しようが、そんなに関係なかったかな。実は複数クラブから水面下で声をかけてもらってましたが、一番興味があったというか、ミッションが明確だった。オファーのうち2クラブは社長(就任)の話だったので、まだもうちょっと強化をやりたいなというのがありました」

 

――そういう状況のチームを強くしたい、優勝させたい、と?

「そこですよね。J1プラス数チーム、Jリーグのトップの22チームで考えれば、優勝争いできるのがAクラスだとすると、言い方は悪いですが当時の横浜FCはDクラスですよね。それをCクラス、Bクラス、Aクラスにすればいいんでしょ、というイメージで。だから僕にとっては、横浜FCがJ2に落ちるか落ちないかじゃなくて、2026年にAクラスにするためにはどうするか、ということだけでした。それはマリノスでもそうだった。マリノスを優勝させたいというテーマがあって、『でも15年間優勝してないですよね』というところから始まった。ジェフにいたときも、オリジナル10で一回も優勝したことのないクラブを、5年かかりましたが2005年に(ナビスコカップで)優勝させた。それを今回も、というところですかね」

 

 

▼無理やり数合わせのために選手を取ることはない

――今季の編成については、21年の12月4日まではマリノスに籍があったわけで、どのようにかかわっていたのでしょうか?

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