無料記事【戦記】インターハイ群馬県予選(6/17) 前橋育英vs桐生第一 王者・育英2年連続インターハイへ 怒とうのゴールラッシュでインハイ切符獲得
【戦記】インターハイ群馬県予選 前橋育英vs桐生第一(6/17)
王者・育英2年連続インターハイへ 2分間で3得点! 怒とうのゴールラッシュでインハイ切符獲得
【結果】
前橋育英 3−0 桐生第一
前半(3−0)
後半(0−0)
【得点】
11分:室井彗佑(前橋育英)
12分:榎本樹(前橋育英)
13分:榎本樹(前橋育英)
【前橋育英】
GK山口瞬
DF若月輝
DF吉田和暉
DF塩田直輝
MF岡本悠作
MF秋山裕紀
MF渡邉綾平
FW榎本樹
FW高橋尚紀
FW室井彗佑
FW石井陽向
【桐生第一】
GK杉浦駿介
DF細渕海
DF本間琢朗
DF角野寛太
DF中野就斗
MF梅林幹
MF松下駿也
MF楠大樹
MF田中渉
MF小池泰誠
MF須藤礼智
Jスカウト注目、大型FW榎本樹が豪快2発
(2点目となるゴールを決めてゴールに飛び込む榎本)
桐生第一の強さが、前橋育英を本気にさせた。
前橋育英と桐生第一は今季、新人戦決勝、プリンスリーグ、県総体決勝で3度対戦し、戦績は1勝1分1敗。トップチーム同士の対戦となった5月5日のプリンスリーグ5節では、前橋育英が2点をリードしながら、終盤に桐生第一が猛攻をみせて2−2のドローで終わっている。
「今年の桐一は最近の中では一番強いと、みんなで話していた。絶対に負けられなかった」(室井彗佑)
「プリンスで追いつかれたので、あの借りを返しておきたかった」(榎本樹)
前橋育英は、今季ケガで遅れていた主将・若月輝、高橋尚紀が今大会から復帰、昨年度全国高校サッカー選手権メンバー二人が加入したことで戦力の厚みが増した。さらに、関東大会に出場し優勝を果たしたBチームから、石井陽向、塩田直輝、吉田直暉らが“トップ昇格”。熾烈なレギュラー争いを勝ち抜いた選手たちが、スタメンに名を連ねた。
(ケガから復帰し好パフォーマンスをみせた高橋尚紀)
前橋育英は榎本樹、石井陽向の2トップ、右MFに室井彗佑、左MFに高橋尚紀を配置する[4−4−2]。2年連続のインターハイ切符を狙う前橋育英は、これまでの戦いよりも球際の「強度」が増していた。
桐生第一のゲームメーカー・田中渉、快速ウインガー楠大樹らがボールを受けると、前橋育英の選手たちは野犬の群れのように獲物を囲い、ボールを奪い取っていった。
桐生第一の田野豪一監督は「うちに対して、かなり対策してきた印象。これまでの育英さんとは違っていた」と立ち上がりのイメージを話した。今季、逆転劇を多く演じてきた桐生第一は、2年生エース若月大和がケガの影響でベンチスタート。終盤勝負のプランが想定された。
桐生第一のプランを、前橋育英が打ち砕いた。
前半11分、渡邉綾平の左CKを、ニアへ入った室井彗佑が滞空時間の長いヘッドで捉えて、ゴールネットを揺らす。ファーサイドには榎本樹、岡本悠作ら高さのある選手が揃っていたが、その裏を突くようなニアからの一撃。小柄なアタッカー室井彗佑は「うまくニアへ入ることができた」と、右手を突き上げて喜びを表現した。
(千金の先制ゴールをヘッドで決めた室井彗佑=中央)
競技場がどよめいたのは、その1分後の前半12分だった。
左サイドを駆け上がった塩田直輝からのアーリークロスを、榎本樹が豪快なヘッドで射抜いて追加点を奪う。「クロスの質が高かったので、良いタイミングで合わせることができた」(榎本樹)。今年1月、悲願の全国制覇を決める決勝ゴールを決めた大型ストライカーが、雄叫びを上げる。
(2点目を決めてゴール内で喜ぶ榎本樹)
衝撃ゴールの余韻が残る中、前橋育英のラッシュが続く。前半13分、再び塩田直輝がクロスを送り込むと、ファーサイドへ流れたボールを榎本樹が蹴り込んで、3分間で3ゴール。圧巻のゴールラッシュで、ゲームの主導権を完全に奪い取った。
桐生第一は、前半26分、ベンチに温存していた若月大和をピッチへ送り込み、反撃を仕掛けていく。前橋育英は、若月大和にボールが入った瞬間に守備のギアを上げて、自由を摘み取っていく。若月輝主将は「この決勝は、相手が桐生第一だったので、チームとして気合が入っていた。攻守両面で、みんながしっかりと役割を果たしていたと思う」と話した。
(桐生第一のエース若月大和を囲い込む前橋育英)
前半を3−0で折り返した前橋育英は、後半の守備の「強度」を緩めない。石井陽向、高橋尚紀、室井彗佑が前線から激しくボールを追い、プレッシャーをかけると、ボランチ秋山裕紀らがボールを刈り取っていく。前橋育英は、桐生第一の鋭いカウンターを受けるシーンもあったが、DFラインのハードワークによってゴール阻止。全国屈指のタレントを揃える桐生第一をシャットアウトして3−0で逃げ切り、2年連続15回目のインターハイ出場を決めた。
(好クロスで2ゴールを演出したDF塩田直輝)
2ゴールを決めた榎本樹は「去年のインターハイは個人的には良い結果を残せたがチームはベスト4だった。今年はチームとしても個人としても最高の結果を残したい」と、夏を見据えた。選手権に続き2大会連続の全国優勝を狙う山田耕介監督は「あの3ゴールがすべて。インターハイの目標? 昨夏が3位だったのでそれ以上。2大会連続優勝? 可能性がある限りチャレンジしていく」と語った。
(2018年6月18日レポート)